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言うことを聞かない子供(小学生)の対処法とは?

小学生の子供に「何度言っても聞かない」「注意すると反抗する」とお悩みではありませんか?
小学生くらいになると、自我が育ち反抗してくる場面も増えてきます。
親としては都度叱るのも疲れるし、どうすればきちんと伝わるのか悩んでしまいますよね。

ただ頭ごなしに注意しても逆効果になってしまうこともあります。
では、子供が素直に耳を傾けるようになるにはどうすれば良いのでしょうか?

今回は、親の言うことを聞かない小学生の対処法について詳しく解説していきます。

目次

小学生が言うことを聞かないのはなぜ?主な原因

小学生が言うことを聞かない理由には、様々な原因が考えられます。
以下では、4つの視点から主な原因を分かりやすく整理してお伝えします。

ただ単に「叱ればいい」という話ではなく、子供の気持ちや発達段階を踏まえて理解することが大切です。

自我や自己主張の成長段階

小学生になると「自分で決めたい」「自分の考えを持ちたい」という気持ちを強く表し始めます。
これは6~7歳頃に訪れる“中間反抗期”とも呼ばれ、自立心が育ってきた証です。

以前までは親の言う通りに動いていた子供が「やりたくない」「今はやらない」と反抗するようになるのは、自然な発達の流れと言えるでしょう。

この時期の子供は、言葉や行動を通じて自分の意見を表現しようとします。
そのため、親が手を出しすぎたり、一方的に命令したりすると「干渉された」と感じて反発することがあるのです。

親子のコミュニケーション不足

親の話を素直に受け入れてもらうためには、日頃の会話や信頼関係がとても重要になります。
しかし、仕事や家事の忙しさ、子供の成長による距離感の変化などから、親子のコミュニケーションが足りなくなってしまう家庭も少なくありません。

とある調査では、小学4年生前後を境に「親子の会話が減った」と感じる保護者が増えており、その理由の多くが「子供が自立し始めたから」とされています。
しかし、実際には「話を聞いてほしい」「理解してほしい」と思っている子供も多く、会話が減ることで親の言葉に心を閉ざすことがあります。

また、親が子供の話を途中でさえぎったり、正論ばかりで押し返してしまうと、子供は「どうせ言っても無駄」と感じてしまいます。

大切なのは、短い時間でも子供の話にしっかり耳を傾け、受け止める姿勢を見せることです。

生活習慣や環境の変化によるストレス

新しい学年への進級に伴うクラス替え、友達との関係など、小学生の生活には日々多くの変化があります。
こうした環境の変化は、子供にとって思っている以上に大きなストレスとなっています。

特に入学や学年の切り替わり時期は緊張や不安を抱えやすく、その影響が「言うことを聞かない」という行動となって表れることがあります。

さらに、睡眠時間の減少や食事の偏り、外遊びの機会が減るといった生活習慣の乱れも、心と体のバランスを崩す原因になります。

反抗的な態度や突然の癇癪、わがままに見える行動などは、心の疲れのサインであることが多いので「何かあったのかな」と子供の心の状態に目を向けてあげましょう。

発達特性や個性による行動傾向

子供は一人ひとり異なる個性を持っており、すべての子が同じように言葉を理解し、同じように行動できるわけではありません。
中には発達の特性により、周囲とのコミュニケーションや指示の理解が難しい子供もいます。

例えば、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動症(ADHD)、学習障がいなどがある子供は、言葉の裏にある意図を読み取るのが苦手だったり、順序立てて行動することが難しかったりします。

このような子供に対して、大人が一方的に「何度も言ってるのに!」と叱るだけでは、理解されない悔しさや戸惑いから、さらに反発的な行動が出てしまうこともあります。

見た目では分かりづらい“境界知能”の子も多く、配慮や支援が必要なケースも少なくありません。

やってはいけないNG対応

言うことを聞かない子供に対して、親がついやってしまいがちな行動があります。
しかしそれらは逆効果となり、信頼関係や自己肯定感を傷つけてしまう可能性もあります。

以下では、やってはいけない3つのNG行動について詳細にお伝えします。

感情的に怒鳴る・叩く

子供が言うことを聞かないとき、つい声を荒げて叱ったり、手を出して叩いたりしてしまうケース。
実は、こうした行為は「しつけ」ではなく心理的虐待に該当し、子供の脳や心の成長に深刻な影響を及ぼすと考えられています。

過度に怒鳴られる体験は、自己肯定感の低下や信頼関係の破壊、さらに人生にわたる世代間のトラウマとなる可能性があります。

東京医科歯科大学が発表した研究では、幼児期に叩かれた子ほど5歳半時点で問題行動が増えやすい傾向があるとされ、大人になっても暴力的な対処を正当化しがちになるなど長期的な負の連鎖を指摘しています。

過度な命令や押しつけ

「早くしなさい」「こうしなさい」と常に命令口調や要求ばかりで指示すると、子供は「自分の意志に意味がない」「親の目が怖い」と感じ、主体性や判断力を失っていきます。
これは過干渉や過保護の一種であり、子供の意欲を損ない自立心を抑制する原因になります。

また、学校や家庭での「命令口調の再生産」にも気をつけましょう。
子供同士でやたらと命令口調を使う子の多くは、家庭内で似た対応をされている傾向があり、言葉使いをそのまま模倣している悪影響が見られます。

過度な命令や押し付けは、子供の自由な思考を抑え、親の意図通りにならなかったときに混乱や反発を生むのです。

比較や否定的な言葉を多用する

「○○君はできるのに」「あなたはいつもダメ」といった他人との比較や否定的な表現は、子供の心に深く刻まれます。
教育評論家によれば、日本の多くの保護者が陥りやすい“比べる病”によって、子供の自己肯定感が低下し「私は愛されていない」と感じる子供が増えているとされています。

否定され続けた経験は不安感や強いプレッシャーを伴い、攻撃性・反抗性や対人関係の悪化に繋がることも多く、自己肯定感や社会性に深刻な影響を及ぼす可能性があるのです。

小学生の「言うことを聞かない」への効果的な対処法

小学生が言うことを聞かない裏には、成長や心情の揺れが影響しています。
以下では、言うことを聞かない子供に効果的な5つの対処法をご紹介していきます。

日常で使える実践的なポイントも掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まずは子供の気持ちを聴く

子供が思い通りに動かないときは、感情的な叱責や否定よりも“どう感じているか”をじっくり聴くことが大切になります。
親が子供の言葉の裏にある不安や疲れを「そうだったんだ」「大変だったね」と受け止めて表現してあげましょう。

一方的に指示を出す前に「どうしたの?」「何が嫌なの?」と優しく問いかけ、共感を示すことで、子供自身が安心して心を開きやすくなります。

傾聴とも呼ばれるこの姿勢は、子供の自己肯定感を高め、コミュニケーションの壁を下げる効果があるのです。

「選択肢」を与えて自発性を引き出す

親が全てを決めるのではなく、いくつかの選択肢を提示することで、子供の自発性を引き出すことができます。
例えば「今すぐ片付ける?それとも夕飯の前にする?」と聞けば、命令ではなく選択の自由が生まれます。

こうした関わり方によって、子供は「自分で決めた」という意識を持ち、納得して行動しやすくなります。
小さな選択の積み重ねが、主体性や判断力を育む土台となっていきます。

モンテッソーリ教育の原則でも「子どもが自ら選び、工夫する機会を与える」支援が、長期的に自律性の発達を後押しするとされています。

行動ではなく努力や姿勢を褒める

「すごい」「えらい」ではなく、「最後まで諦めずに頑張ってたね」「結果が出るように工夫してたね」と、努力や工夫した姿勢に焦点を当てて褒めることが、子供の粘り強さを育みます。

とある研究によれば、能力を褒められるよりも「努力」を褒められた子の方が自己肯定感が向上し、成績も伸びやすいという結果も出ています。

得られた「結果」そのものではなく、そこに辿り着いた「過程」に目を向ける褒め方によって、やってみようという挑戦心が育つのです。

短く明確な指示を出す

子供に行動を促す際は、説明が長すぎたり複雑だったりすると、何をすべきか分からなくなってしまいます。
例えば「早くカバンの準備して!遅れるよ!」と呼びかけるよりも、「カバンを持ってから靴を履いて」と、具体的で短い指示を一つずつ伝える方が子供は理解しやすく、スムーズに動くことができます。

年齢や発達段階に応じて、子供が受け取りやすい表現を工夫することで、親子間のストレスも減少していきます。

親の行動で手本を見せる

子供は言葉よりも、親の日々の姿勢や習慣を模倣します。
例えば、親が散らかった部屋を「片付けよう」と静かに整理していたり、挨拶を丁寧に続けていると、自然と子供もその流れを取り入れるようになります。

親がルールやマナーを守っていれば、子供も自然とそれを身につけるようになるのです。

小言や注意ではなく、実際の行動が何よりも学びとなることを十分に意識し、親自身が手本となる振る舞いを心がけましょう。

日常でできる信頼関係づくりの習慣

親子感の信頼関係は、特別な時間ではなく日常のちょっとしたやりとりや触れ合いから育つものです。
以下では、毎日のくらしに取り入れやすい3つの習慣をご紹介します。

親子の関係がより深まる手助けになりますので、ぜひ継続してみてください。

スキンシップや会話の時間を増やす

日常に「スキンシップや会話の時間を増やす」ことは、子供の心の安定に大きく寄与します。
肌に触れる行為や目を見て話すことは、親からの愛情を直接感じられる貴重なコミュニケーションです。

子供は言葉だけでは伝えきれない感情が多いため、コミュニケーションの中にスキンシップを加えることで、安心感を与える効果があります。

また、忙しい日常の中でも「今日あったことを教えて」など、短い会話を意識的に取り入れることで、子供は「自分の話を聞いてくれる」と信頼を深めていきます。

子供の興味・関心を共有する

子供の興味・関心を共有することも、親子間の信頼を築くうえで非常に有効です。
例えば、子供が昆虫に興味を持っているなら一緒に図鑑を読んだり、外に観察に出かけたりすることで、共通の体験を通じて心の距離が近づきます。

親が子供の好きなことを理解し、肯定的に関わることで、「自分の気持ちをわかってくれる存在」という安心感につながるのです。
逆に、大人の都合や興味だけを優先すると、子供は本音を言いにくくなってしまいます。

子供の目線に立ち、「それ面白そう」「もっと教えて」など関心を示す姿勢が大切になります。

小さな成功体験を積ませる

最後に、小さな成功体験を積ませることも信頼関係を育てる上で重要なポイントとなります。
子供が挑戦したことに対して、結果の良し悪しではなく「頑張ってたね」と過程を認めてあげることで、自己肯定感と共に「親は自分を見ていてくれる」という信頼が育まれます。

例えば、「近所の方に挨拶ができた」「家事のお手伝いができた」このような日常の小さな行動に気づき、言葉で認めてあげることが大切です。
こうした成功体験の積み重ねが、親子の絆を深めるだけでなく、子供自身の自己肯定感にも繋がっていきます。

それでも改善しないときは?

様々な対処方を試しても「言うことを聞かない状態」が続くと、親としてはさらに悩んでしまいます。
以下では、このような場合に有効なアプローチとして、担任や学校と連携して環境を整えること、専門家への相談を進めるポイントなどを詳しく解説していきます。

担任や学校と連携して情報共有する

子供が言うことを聞かない状況が続くと、家庭内だけでの対応に限界を感じることがあります。
そんなときは、学校との連携が大切な鍵になります。

子供は、家庭と学校という2つの環境で過ごしているため、両者が情報を共有し合うことが重要です。

まずは担任の先生に現状を伝えましょう。
学校での様子・友人関係・授業中の態度など、家庭では見えない子供の一面が分かります。

担任の先生も保護者からの情報がなければ適切に対応できないこともあるため、積極的に相談することがポイントです。

また、学校にはスクールカウンセラーや特別支援コーディネーターなど、専門的な立場の人が在籍している場合もあります。
学校と協力し、必要に応じてこうした専門家と連携することで、より多角的な支援が可能になるでしょう。

専門家(カウンセラー・発達支援)への相談

家庭や学校の支援でも改善が見られない場合は、専門機関に相談することを検討しましょう。
言うことを聞いてくれないことに悩み続けるよりも、専門家の客観的な視点を取り入れることで、新たな道が開けることがあります。

例えば、子供の発達や行動に詳しい臨床心理士や児童発達支援センターなどでは、家庭では気づきにくい「発達特性」や「情緒面の課題」に注目しながらアドバイスをしてくれます。
最近では、子供の行動の背景にASDやADHDなどの特性があるケースも少なくありません。

市区町村の相談窓口・子育て支援センター・医療機関など、まずは身近な所に相談することが長期的な改善の第一歩になります。

まとめ|子供が言うことを聞かないのは成長の一部。焦らず寄り添おう

今回は、言うことを聞かない小学生の対処法について解説してきました。

子供が親の言うことを聞かないのは、単なるわがままではなく、自我の芽生えや成長の過程で自然に起こる変化です。
親子の信頼関係や日常の関わり方、生活環境のストレス、発達特性など様々な背景が影響しています。

感情的に叱るのではなく、子供の気持ちに耳を傾け、選択肢を与えたり努力を認めたりすることで、少しずつ前向きな関係を築けます。

どうしても改善が見られないときは、学校や専門機関と連携しながら、無理のない支援を考えていくことが大切です。
焦らず子供のペースに寄り添っていきましょう。

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