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発達支援と自転車に乗れるまで

みなさん自転車はたぶん乗れますよね^^

でも、初めて自転車に乗ろうとした時のことを思い出してみてください。

いきなりうまく自転車に乗れましたか?

おそらく上手くこげないのではないかと思います。一回ペダルをこぐことすら難しかったり、ハンドルがよろよろしてしまい、行きたくない方向に進んでしまい、電柱にぶつかって止まったりなど、散々な思いをしながら乗れるようになったのではないでしょうか?

でも、あんなに乗るまでは難しかった自転車乗りも一度乗れるようになってしまうと、乗れなかった日々は何だったんだろうと思うほど、すいすい乗れるようになってしまうと思います。

もし、大人になり、久々に自転車に乗ったとしても、きっと一度乗れるようになった自転車は、また、すぐに乗れると思います。

発達支援は、自転車乗りに似ているところがあります。

目次

「発達支援を自転車乗りに例えると」

発達につまずきのある子を読み取る際、読み取り方がわからないと、毎日会っている子だとしても、何年支援に関わっていたとしても、本当の姿を読み取れていないことが多々あります。

私自身も、初めてこの発達に関わる仕事を始めた際に、インリアルプローチの研究会で、30秒の赤ちゃんのビデオを36回繰り返して見たことがあります。

36回見ても、読み取るための視点をもっていないと、必要な情報は読み取れませんでした。

どこに着目すべきか解説をしてもらったら、37回目にようやく必要な情報が読み取ることができたという経験があります。

また、自分がケーススタディで担当生徒のビデオを宇佐川浩先生に見ていただいたところ、2時間も用意したビデオの1分程度を見て頂いただけで、

「わかった!」

とおっしゃられ、担任の私よりも、「◯◯の場面ではこういう感じでないないですか?」と、

「エッ、何で知っているんですか?会ったことあるのですか?」

と思ってしまうほど、言い当てられてしまった経験があります。

「発達支援でいう自転車とは?」

ほんの小さなしぐさや、まなざしの背景に潜む、発達のつながりを読み解くと、氷山の一角と表出するわずかなサインから、本来の発達課題を見つけることができるようになるのです。

ところが、自転車乗りと同じで、この発達支援で必要な、つまずきのある子を読み取る力を培わないうちは???の連続となります。

「乗れていると勘違いしていると、、、」

例えば、イスに座り(車いすに座りでも同じ)いつも前後に体を揺らしている子、くるくる回っている子、ピョンピョン跳びはねている子を見たら、何が課題かすぐに思いつきますでしょうか?

東京の宇佐川研に一年間以上通っている人ならば、このくらい分かりやすいしぐさであれば、すぐに発達のつながりを3つはつなげて、「なぜ」揺れるのか、ピョンピョンするのか説明ができます。

しかしながら、私もそうでしたが、初めて発達支援に関わる立場であったり、発達の仕組みを学んでいなかったりすると、この行動を見ても、子どもたちの内面世界を全く理解できないばかりか、

つい、「やめなさい!」「止まりなさい!」「ちゃんと座りなさい!」などと叱りつけるかもしれません。

予想される内面世界として、「平衡感覚の反応性の低さ(つながりの弱さ)」が予想されます。

平衡感覚の情報(揺れている、傾いている、またはその速度)が平衡感覚情報を受け止める三半規管や耳石から脳へ正しい情報量を伝えられていないのではないかと読み取れるしぐさなのです。

そして、平衡感覚の反応性が低いとなると、付随して3つの発達上のつまずきを予測することができます。

「発達の意味性をつなぐ」

それは、平衡感覚情報を受け止めている三半規管などは前庭と呼ばれる場所であり、その前庭とつながる3つの神経経路の不全が浮かび上がるからです。

①前庭-自律神経系

よく起こりえるのが、脳の覚醒の低さです。いつも眠いような表情であったり、脳が目覚めていないので、なかなか大脳新皮質を使う活動の「考える」ことや「識別的」な脳の使い方ができにくかったりします。

また、交感神経と副交感神経の切り替えが悪く、

  • 寝ていても疲れが取れにくい。
  • 眠っていても物音などですぐに目が覚めてしまう。
  • 汗をかきにくい。

などです。

②前庭-脊髄系

姿勢の調節機能としてはたらく神経経路です。

  • すぐに姿勢が崩れてしまう。
  • だいたいいつも猫背で背中が丸まっている。
  • 筋緊張が低く膝関節や足首が内側を向いていたり、外側を向いており、関節をロックさせたような歩行になりやすい。
  • 階段を降りる際にぎこちない降り方になる。
  • 片足立ちが数秒しかできない。

などです。

また、付随したところでは、鏡文字になってしまう。

③前庭-動眼系

眼球運動をコントロールするためのつながりです。

  • 板書をノートに写すのにものすごく時間がかかる。
  • 文字をきれいに書くのが苦手(漢字が苦手)。
  • 教科書を読むのが苦手(特に国語の立てで書いてあるような本)。
  • ドッジボールで真っ先に当てられてしまう。
  • サッカーでボールが転がってきても空振りが多い。
  • バスケットのキャッチができずにはたき落としてしまう。

などです。

イスの上でゆらゆらしている様子から、運動感覚の知識がほんの少しもっていると、上記なようなことが予想されるので、ゆらゆらしているという姿を見逃さずに、その子の背景を予見できるのです。

さらに、その先も発達仮設を立てるとすると、目が使えていないとするならば、視覚からの情報を取り込むことが苦手であり、聴覚からの情報で外界を捉えることが多い。

しかしながら、視覚で物事の関係性を読み取っていないので、ものすごくおしゃべりであるが、話している言葉の割に、内用をあまり理解できていないことが多い。もしくは、会話が微妙に噛み合わない。どこかで物音がすると、すぐに注意がそれてしまい、いましていたことがおろそかになってしまう(集中力が無いと叱られやすい)。なども予測が立ちます。

このような発達的な意味のつながりをつなぎ合わせて子どもたちを見ていけるようになると、子どもたちが今何に困っているのか。

子どもたちは、サボっているわけでもなく、ものすごく頑張っているけれど、うまくできない、悔しい、どうしたら良いのか本当は助けてほしいことなどが見えてきます。

「発達臨床的子ども理解」=「知らないと見えてこない世界(知ることで見える世界)」

これは、宇佐川浩先生の「感覚と運動の高次化理論」の中では、「発達臨床的子ども理解」として紹介されています。

①発達段階を知ること

②発達の全体性を見ること

③発達の意味性をつなぎ合わせること

をすることでより良く子どもたちを見ることができる視点です。

これが、まさしく発達支援でいう自転車に乗れるようになるということに当たります。

まだ、もし、発達支援に関わったばかりで、この視点をもっていないようでしたら、早めに培うことをおすすめいたします。

なぜなら、子どもたちの本当の姿を読み取れないとするならば、本当に必要な支援を提供できないからです。

知らなければ、実践しない。実践しなければ発達しない。

ものすごく当たり前な図式が成り立ってしまいます。

そして、健常発達と違うところは、放っておいたら、そのままの発達で止まったままであったり、また、触覚防衛反応(聴覚防衛反応)があった場合には、二次障害、三次障害とつながってしまうことが起こりやすかったりするからです。

そして、自尊感情が育ちにくく、思春期をうまく乗り越えられないということが起こり得るからです。

「発達につまずきがあるということは」

発達につまずきがあるということは、慣れれば慣れるや、繰り返せばできるというものではありません。

適切なアプローチ、支援があってこそ、子どもたちは本来の自分らしさやもっている力を発揮しやすくなります。

自転車に初めて乗るときはものすごく大変です。

発達支援も初めて発達につまずきのあるお子さんを前にすると、どのようにしたらよいのか分からないことが多いです。

でも、発達の仕組みを一つずつ理解していくと、子どもたちの真の姿が見えてきます。そして、一度、子どもたちを捉える目を養うと、自転車乗りと同じで、捉える目はさらに肥えていきます。

どうしても読み取れない時が出た時は、乗り方を変えてごらん^ ^というサインだと捉えてみてください。

もし、子どもたちが可愛いと言って、発達支援に関わるのであれば、子どもたちが今何に困っているのか、そしてものすごくがんばっているということを認めていける支援者を一緒に目指しませんか^ ^

宇佐川研 代表

植竹

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『発達支援の理論と実践を学べる書籍』

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