『子どもたちとその家族が教えてくれたこと』実践研3月度より

『子どもたちとその家族が教えてくれたこと』実践研3月度より

ご報告が遅くなりましたが、先週日曜日に、今年度最後、平成最後の実践研を開催しました。

その最後を飾るべき講師として、療育、教育の原点となる部分をお聞きしたく、

作業療法士 岸本光夫先生

にお越しいただき丸一日かけてご講義いただきました。
 
 
 
岸本先生が40年に渡る作業療法士としての歩みの中で学ばれてきたことを
 
 
「私が観てきた障害児療育の40年」
~子どもたちと家族が教えてくれたこと~

と題して様々な先生の実践動画も交えてお話くださいました。
 
 
以下、ダイジェストとしてお読みください。
 

~子どもたちが教えてくれたこと~

 ①子どもは、立派な大人になるために子ども時代を生きているのではない。

 ②発達は、こころとからだの変化であり、その原動力になっているのは「好奇心」と「実体験」そして「有能感」である。
 
 ③共生という自立(自律)に向けた作業療法の視点が必要。
 
 
 「今」その子に必要なこと。「今」しかできないことを大切にしていくこと。
 
 
 
・「脳性まひ児の家庭療育(ナンシー・R・フィニー)の言葉より」

 脳性麻痺児はその神経学的障害(運動障害)の故に、手助けがなければ「自然に遊ぶ中で学習する」という機会をなくしてしまうことになる。
 
 したがって我々は、子どもたちに、観たり、聞いたり、感じたり、という経験をできるだけ多く与えてあげる必要がある。
  
  
 脳性まひは治らないかもしれないが、でも経験することで、育つことはたくさんある。
 

~小児リハビリテーションの歴史的変遷~

訓練室のリハで終わってはいけない。生活の中で、今後の環境の中でどのように生きていくのかを考える。

 ①家族の中で育つ、「子どもの生活」と「発達を支援」する。
 ②子どもが生活する場で実際に必要な生活課題を練習する。
 ③問題点を克服するのではなく、能力の開発、成功体験を重視する。
 ④まず子どもの療育課題があり、各種訓練法や理論を有効に利用する。

・〇〇法は、子どもたちを良くするための、手段にすぎない。
・〇〇法をやることが目的ではない。
・理論だけ、物だけのセラピーではいけない。
 
 良かったという実践があれば、何が良かったのか?を振り返ること
 うまくいかなかったという実践であれば、何がよくなかったのかを振り返ること
 
 
 常に「なぜか?」という視点をもちつづけることが大切。
 

・「痰」をよく出すには、自発運動が一番効果がある。
寝て過ごしていたお子さんにとり、椅子に座れるようになると、ものすごく変化がでる。

子どもたちとのかかわりから学んだこと
「今」を生きる支援
「先」を予測する支援
 

・「重症心身障害がある人とは?」

 ①一人ひとり異なる
 
 ②「生命力」と生涯「発達する力」をもっている
 
 ③価値ある人、無くてはならない存在 
 
 この3つの視点をもつことで、➡「新しい価値の創造」ができる
 
 
 ☆「糸賀一雄」先生の実践史「この子らを世の光に」より
 
  この子たちはすでに光輝くものをもっている。そこに光が当たるように私たちがしていくこと。
 
 

~ライフステージと生活支援~


〇「なぜライフサイクル、ライフステージなのか?」
 
  ・子どもたちの将来に責任がある。
 
  ・発達段階を考慮しながらも、生活年齢を大切にする。
 
  ・子どもたちの人生に貢献する

・「ライフステージにおける課題 乳児期」

 ☆家庭ぐるみで療育の基礎を作る
  
   ①生理的基盤、生活リズムをつくる

   ②コミュニケーションの基礎を育てる
 
   ③「快」の情動を高め、人を求める心を育てる
 
  ➡困難な子育てではなく、楽しい親子の暮らし
 
  

・「ライフステージにおける課題 幼児期」

 ☆基本的生活習慣の確立と集団の適応
 
   ①発達に合わせて自我の育ちを丁寧に
 
   ②仲間づくりと遊びの広がり
 
   ③身辺動作の学習と就学準備
 
  ➡様々な暮らしの知恵を共有しよう
 

・「ライフステージにおける課題 学齢期」


  ☆自立(自律)のための根を育てる
 
   ①多くの活動参加による自己有能感
 
   ②自分の障害への理解→相互理解へ

   ③社会的資源、福祉機器の積極的な試用
 
  ➡「できる方法」を模索しよう
 
 

 
 〇当事者が望む連携のあり方
 
 医療は、生活に根ざしたリハビリプログラムの構築
 保育、教育は医療的配慮を取り入れた保育、教育プログラム
 
 ➡「子ども・家族中心の療育チーム」へ
 ☆子どもの障害と潜在能力の共通認識
 
 ➡➡➡連携の一歩は、場を共有すること
 

・「ライフステージにおける課題 思春期」

 〇生理的変化が顕著になり、心も体も不安定に
 
 〇自分の障害に対しての悩みと葛藤
 
 ➡生理的変化、二次障害への理解と対応
  
  自分と仲間の「いいところ」探し
 

・「ライフステージにおける課題 青年期」

  ☆自己実現、社会的役割の構築
 
  ①親からの自立(子どもからの自立)
 
  ②社会的資源を有効利用し、発展させる
 
  ③職業、趣味、友人・仲間づくり
 
  ➡新たな自分を発見しよう
 

・「ライフステージにおける課題 成人期」

 ☆自分史の作成と人生設計の再構築 
 
  ①新たな生きがいの発見
 
  ②二次障害への対処
 
  ③家族とのつながり、老後の生活設計
 
  ➡人生の忘れものをあきらめない
 

・「ライフステージにおける課題 壮年期~」

 ☆壮年期に大切なこと
 
 〇社会参加の機会を失わない
 
 〇「生きがい」を保証するリハビリの継続
 

 ☆老年期???
 
 その実態がよく知られているわけではない
 
 〇生きた証とその思い出がもてる老後
 
 
☆☆☆生涯発達という視点を忘れてはならない☆☆☆
 
 

〇「家族を理解するということ」

 ・家族メンバーはお互いに影響を与えている
 
 ・家族は年月を経ることで変化する
 
 ・どの家族も文化的に独自の存在である
 
 
  ⇒実践家は自分自身の定型的なものの見方と偏見を自覚すること
 
  ⇒実践家は家族と自分の違うところを尊重すること

  ⇒家族好み言語を見つけること
 
 (ファミリー中心のアプローチの原則とその実際 より)

 
〇「兄弟に対する配慮」

 ①兄弟は親の「注意渇望状態」に陥りやすい
 
 ②わがままを言うことを罪悪のように感じることは、自我の発達に影響する
 
 ③親自身はそのことに気づきにくく、誰かが言及する必要がある。
  
 (岩崎 2001)
 
 

〇「拘縮・変形を予防するための指針」

 1 異常姿勢(医学的な用語)を固定的にせず、日常姿勢の変化(多様性)をつける

 2 対象児(者)の身体を動かす機会を多くもつ
 
 3 これらの対象児(者)と介助者双方にストレスの少ない方法で定着させる
 
 ➡「多様性」の視点を何よりも大切にすること。
   多様な日常姿勢が大切
 
 
 ➡変形や拘縮は悪者ではない。頑張って生きてきた証である
 
 

〇「なぜコミュニケーションが重要なのか」

 子どもが周囲を理解すると同時に、快適さを求め、ほしいものを手に入れ、楽しく遊び、成長を続けていくためである。
 
 ⇒我々受け手のコミュニケーションスキルが重要
 
 ①コミュニケーションの構成要素
  
   (ア)メッセージを送る契機
 
   (イ)メッセージの伝え方

   (ウ)メッセージの理解 
 
 ②定位反応(注目的反応)、予測的・期待的反応、催促反応、能動的かかわり行動を促す
 
 ☆コンピテンス(有能感)の発達がコミュニケーションの鍵

 ☆コミュニケーションの基本はタイミング
 
 

〇「対象児・者との心をつなぐコミュニケーション」
 
 ①療育者の志向性  (君がいて僕がいる)
 
 ②療育者の映し返し  (受けて効果)

 ③対象児・者と療育者の感覚のチャンネル(情動共有)

 ④コミュニケーションの基底にある力動感(空気感的なもの)
  (何を大切にするの? 今を大切にする!)
 
 ➡あなたの時間を楽しみたい
 
 
 
〇「微弱」とされる発信をつかんでいくために
 
 ①不快反応の特徴、その契機、対処方法を把握していく
 
 ②とりあえず、不快的反応が積み重ならないように働きかける

 ③働きかけの中で対象児・者の定位反応や期待反応とその仕草を理解していく
 
 ④「仮説」をたてる。 △をしたら〇〇するのではないか?
            〇〇の仕草は●●なのではないか?
 
 ⑤「仮説」に基づいて、働きかけを継続し、因果関係を確かめる
 
 ⑥「仮説」の検証・修正
 
 
 
 
◎「幸せについて(V・E・フランクル)」

 人は、愛する人のことを心の中で想うだけでも
 
 人は、感謝することで、幸せな気持ちになれます
 
 人は、何らかの希望をもつだけで、心の中を少しは明るくできます
 
 人は、夢の実現を想うだけで、幸せの予感を感じることができます

 人は、自分の幸せを「幸せだなぁ」と思うことで、幸せを感じることができます

➡『人生の幸福は、どれだけ感動を得たかによって決まる』
 
 
と語られて岸本先生は40年間に渡る実践からの学びを、私たちへ実践家へバトンをつないでくださいました。
 
 
実際にのご講義の中では、このダイジェストには収まりきらない、濃い内容のメッセージをお伝えくださっております。
 
 

 
 
 
 
懇親会にもご参加してくださり、参加者からの様々な質問にも岸本先生は最後までお付き合いくださいました。

 
 
懇親会の中でも岸本先生からの何気ないメッセージが、研究会の会長であり、同じ作業療法士である木村順にも響いたと語っていました。
 
  
それは、
 
 
 臨床の中で出会ってきたセラピストや教諭で、実践力が伸びる人は、スーパーバイズを受けた際に「あなたは、この子に何をしてあげたいの?」とバイザーから聴かれたとき、たとえ内容がズレていたとしても「自分の言葉で具体的に○○が出来る様にさせてあげたい!と答えることが出来る人」……という言葉です。
 
 セラピストとしての主体性を問いかけるお話しです。木村順も120%共感しましたとコメントを残していました。

 
  
 まだ実践家としての経験が浅かったとしても、対象のお子さんに対しての心からの想いをもつこと、「今」という瞬間を一緒に大切にしていける心こそが大切なことであることを私自身はバトンとして次代へつなげていきたいと思いました。
 
 
 
文責 実践研事務局
植竹

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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