『自傷行為を受け止め、分析する』

『自傷行為を受け止め、分析する』 東京 宇佐川研7月度より

 

東京宇佐川研(発達障害臨床研究会)の7月度では、

 

自傷行為をどのように受け止めるか?

 

そして、どのようにして改善を図るかケーススタディを通して掘り下げました。

 

※ケースの内容が非常にセンシティブなため、本ケースに関する投稿や質問などはしないでください。また、個人情報保護の観点から、所属など一切公開しませんので、ご了承ください。

 

自傷行為のあるお子さんの担当となれば、なんとか、自傷行為を止めたい、やめさせたいと思います。

 

今回もケース発表者からの願いはそうでした。

 

目の前の、姿、行為にばかりに目が奪われてしまい、では、なぜ?自傷行為をするに至ったのか?

 

自傷行為をせねばならなかった過去に目を向けることから始めました。

 

個人情報の観点から詳しくは書けませんが、生まれた時の記録、母子手帳情報からすでに可能性が示されていました。

 

幼少期からの自傷行為。

 

保護者の心情はどうだったのであろうか?

 

小さい我が子が自分の体を傷つける姿を目の前で見て、そして、止めることができない苦しさ。

 

相談しても、何も解決していかないもどかしさの連続。

 

希望と絶望を繰り返し続けた数年間だったと容易に推測できます。

 

今回、研究会に相談が入り、実際にケーススタディに至るまでに、約10分ほどケース相談を受けました。

 

その中で、「感覚と運動の高次化理論」を当てはめて考察をしていくと、

 

Ⅰ層にあたる、基礎感覚のつまずきがすぐに目に止まりました。

 

植竹からの助言として、

 

まず、自傷行為の根幹として、第一に触覚防衛反応を改善が必須だと判断しました。

 

同時に平衡感覚のかなりの低反応性が見受けられることと、痛覚の鈍麻さも推察されました。

 

この基礎感覚のつまずきの重なりと、見え隠れする認知の高さゆえに、ストレス場面に、

 

「No!」

 

の表出ができずに、自傷行為そのものがコミュニケーション手段として身につけたのだと仮設立てしました。

 

以上の観点から、まずは触覚防衛反応を改善させるためにも、平衡感覚のアプローチから取り組むことを提案しました。

 

その上で、認知学習課題として、「始点-終点」の理解を触覚をベースにしながらも少しずつ視覚が伴うような課題、

 

さらには弁別課題へとつながるようにしていき、

 

絶対Yesを選ぶ場面で、あえて違う提示を与え、Noの表出を、身振り、カード、言語など、自傷行為以外でその子が表出、表現できる手段を再学習してみてはどうか伝えてありました。

 

ケーススタディの際は、そのアドバイスを基に、平衡感覚系のアプローチを約1ヶ月間の間に10回ほど取り組んだところ、

 

アプローチ後は、自傷行為は見受けられず、穏やかな表情になっている姿が確認できました。

 

今回のケーススタディについて、作業療法士の木村順より、動画のようなスーパーバイズがありました。

自傷行為という非常にシビアな行動をどう捉えるか?

 

見える氷山の一角だけに目をはせるだけではなく、その背景を読み解き、その子がそうぜずにはいられなかった歴史を受け止めつつ、支援することの大切さ。

 

そして、発達支援をする者の心の在り方が問われることを実感せずにはいられない時間となりました。

 

私たちの学びが、目の前の子の未来を創ることと同時に、

 

学びの足りなさが、未来を曇らせることを改めて切に感じました。

 

理解から始める支援を、これからも追求していきます。

 

宇佐川研

植竹

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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