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『軽度発達障害児の読み取りの視点』

目次

『軽度発達障害児の読み取りの視点』 自主勉強会より

『感覚と運動の高次化理論第17章」では、

「軽度発達障害児の発達臨床」という章です。

1 臨床支援の難しさ

高機能自閉症、アスペルガー障害、言語性LD、非言語性LD、ADHDといった、高い認知機能を有しながらも発達のアンバランスが著しい。

認知が育っているがゆえに、自己像のつまずきや適応上に難しい課題をかかえているからです。

軽度発達障害児の処遇上の主要な目標の一つは、

「発達のアンバランスを押さえながら、療育的な発達支援を行うこと」です。

そして、もう一つの目標は、

「自我発達のつまずきを中心とした、二次的な適応障害への心理療法的サポート」です。

宇佐川先生であっても、二次的適応障害に対する心理的サポートは難しい課題だと述べられています。

だからこそ、最初から適切なサポートをしていく必要があり、そのためには、子どもたちが何でつまずいているのか、何に対して困っているのか、怖いと感じているのか、楽しいと感じているのかなどを読み取る力が支援者に求められるのでしょう。

2 発達臨床からみた軽度発達障害児理解の視点

従来、LDとかアスペルガー障害、ADHDといった障害別に分けてアプローチ法を考えることが多かったように思います。

しかし、障害別というより、軽度発達障害児に共通する対応の仕方を見つけ出し、それに加え、個々の発達的特徴を考慮してアプローチすることの方が有益な事が多いようです。

実は、中・重度の知的障害や自閉性障害児についても全く同様な観点から理解を試みることになり、総称して、

「感覚と運動の高次化アプローチ」

というネーミングがつけられています。

軽度発達障害児の発達的特徴に共通してみられる枠組みとして、

①感覚・知覚入力の問題

②姿勢・運動・発声面での問題

③認知・言語発達のつまずき

④自己像のつまずき

⑤情緒発達のつまずき

の5点をあげることができる。

図表の「幼児期・学童期における軽度発達障害児の行動特徴と配慮点」(宇佐川2005)を参考にしてください。見方として、◎は大変あてはまる、◯は当てはまる、△は部分的に当てはまる、-は当てはまらないという基準です。

3 発達臨床からみた発達障害の位置づけ

下に添付したのが、「発達障害の位置づけの枠組み」の図です。

図のように、それぞれの障害は重なり合って存在しているという理解が大切です。

また、自己像の発達とは、運動を通して自分に気づきつつ他者を意識し、自己と他者が関わりあっていく過程であり、「関係性の発達」とも言えます。

LD児の方が自己像・対人意識は発達していることが多いが、それゆえに劣等感や二次的適応障害も大きくなりやすいといえます。

あくまでも代表的な位置づけではあるが、大まかにでも捉えておくことで支援の方略につなげやすくなります。

4 発達領域を関連づけて捉える視点

軽度発達障害児と関わる上で最も気がかりになる点はコメント欄1の表の「情緒」「自己像(関係性)」の項目です。

だからといって、情緒と自己像だけに焦点を当てたアプローチは失敗に終わりやすいです。

なぜなら、情緒や自己像(対人関係)のつまずきの背景には、姿勢・運動・発声、認知・言語、あるいは、感覚・知覚という問題があるからです。

これらを関連付けて課題を捉えないと、良い支援にはならないからです。

ここで述べたような、軽度発達障害という枠組みを知らない場合、安易に家庭の療育環境の問題にすりかえられやすい。

例えばLD児の特徴とされる「だらしがない」という行動の背景には、運動強調障害による不器用さや触覚が過敏なために、身支度や歯みがきや洗顔・洗髪等を嫌うといった身辺自立を妨げてしまう要因があります。

机に肘をつけがちで姿勢が悪く、グニャグニャしている等、一見学習態度が悪いのかと思われがちだが、実は筋緊張のコントロールが悪く低緊張になりやすいという平衡感覚の育ちの課題が背景にあったりする。

集団から外れるという問題も、聴覚の過敏さや、集団遊びのルールが難しくて理解できない、刺激に振られやすいといった理由を考えることができます。

軽度発達障害についての理解が深まれば、彼らの示す一見問題行動と捉えられることを、安直に親側の養育態度や障害そのものにすり替えることは少なくなるはずです。

つまり、感覚や姿勢・運動、認知、自己像、情緒、コミュニケーション等の発達の様子と関連付け、トータルに問題を捉えて幅広い臨床的対応を考えなければならないのです。

彼らにとり、「そうせざるを得ない外界との係わり」を深く理解しようとする姿勢が今問われています。

と、さらに、

5 感覚・知覚入力の問題

(1)感覚の過敏性が生活におよぼす影響
(2)過敏性への臨床的配慮
(3)知覚の歪みや失認様つまずき

6 姿勢・運動・発声面での問題と支援

(1)強調運動面の障害と対応
(2)発語のつまずきや発声・構音面での音韻障害とその対応
(3)身辺自立面における諸問題

7 軽度発達障害児にみられる認知・言語のつまずきと支援

(1)前言語機能の発達のつまずきと対応
a)身体模倣のつまずき
b)象徴あそびのつまずき
(2)知覚のつまずきや細部と全体知覚のアンバランス
(3)柔軟な概念化のつまずきと対応
(4)読みの理解と算数のつまずきへの対応
(5)ことばによる即時的な応答と会話的やりとりの難しさ
(6)注意力・記憶力のつまずきへの対応

8 軽度発達障害児にみられる自己像のつまずきと支援

(1)競争意識のこだわりと対応
(2)社会的ルール理解のつまずきと支援
(3)集団からの孤立や他児に対するラフな行動への対応
(4)役割取得あそびが苦手なことへの対応
(5)劣等感の拡大と二次的適応障害への対応
(6)他者の心情理解のしにくさへの対応

そして、前回の動画https://youtu.be/6kSveg0i43Qで解説した

9 軽度発達障害児にみられる情緒発達のつまずきと支援

(1)情緒へのアプローチの視点
(2)情動の興奮と調節へのアプローチ
(3)パターン化の強さへの対応
(4)全体的な状況理解が難しいことへのアプローチ
(5)嗜好的な固執へのアプローチ
(6)思春期へ向けての配慮
(7)情緒へのアプローチのまとめ

10 軽度発達障害児の支援方略のまとめ

以上のように軽度発達障害児の発達支援として共通する問題を、「感覚と運動の高次化による発達臨床の実際」の第17章では、可能な限り広範囲に宇佐川先生は語られています。

宇佐川先生が強調していたのは、

「子どもたちの一つ一つの行動に対して発達発達的観点(肯定的に子どもたちを捉える視点)から理解すること」

です。

軽度発達障害児の理解と支援のためには、コメント欄の3つめの図表のように幅広い行動理解と幅広い具体的支援方略が重要となります。

大きく分けると次の3つの部分の理解になります。

①感覚知覚入力系の問題

②自己像・認知・情緒の問題

③姿勢・強調運動・発声面での問題

という3点を発達的視点に立ち、発達の意味性をつなぎ合わせていくような仮説立てをし、支援アプローチをしていくことです。

このような多岐渡る視点をもつことで、苦手な言語コミュニケーション能力を育てることに繋がるのだと宇佐川先生は述べられています。

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今回の記事でも、宇佐川先生は感覚入力の理解の大切さを述べられています。

中でも、「触覚」と「平衡感覚」の理解は必須となります。

「平衡感覚」が育つことで視知覚が育つからです。この関係性について、

11月17日の岡山 宇佐川研と、11月18日の第2回兵庫 宇佐川研で、

「平衡感覚」のメカニズムからかなり詳しく動画を使い講義します。

平衡感覚のつまずきが改善できると、見違えるほど子どもたちは成長していきます。

平衡感覚の改善から大きく成長していった数々の事例を兵庫と岡山では動画で解説します。

子どもたちの動画はfacebookなどでは配信できませんので、ぜひライブで学んで頂きたく思います。

「平衡感覚」の知識がないと、どんなに「感覚と運動の高次化理論」を学んだり、
また様々な支援方法を行っても、期待以上の改善に結びつきません。
兵庫・大阪・岡山、また、その近県の方に、ぜひこの機会に絶対学んで欲しい内容です。

今回だけは、聞き逃すと、今後の研究会を進めても、半分くらいしか支援効果がでないので、
多くの方に参加して理解を深めて頂きたく思っています。

この発達障害児の理解の投稿ではなく、

facebookの『兵庫 宇佐川研 開催案内」「岡山 宇佐川研 開催案内」の投稿をシェアしてくださった方には、

前回の兵庫 宇佐川研の動画3時間分(ケース検討と個人情報の部分を除く)をプレゼントしますので、

ぜひ、「触覚」のメカニズムについて理解を深めてください。

※シェアしてくださいましたら、岡山と兵庫の開催案内の投稿のコメント欄に「シェアしましたー」と書き込んでください。

センジャーより動画を送らせていただきます。

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