気になる子もいっしょに『体育ではじめる学級づくり』 ~ソーシャルスキルのつまずきを学級経営に生かす応援プラン109~

☆新刊紹介☆

気になる子もいっしょに『体育ではじめる学級づくり』

~ソーシャルスキルのつまずきを学級経営に生かす応援プラン109~

 
 
本研究会のスーパーバイザーである、川上康則先生の新刊が出版されます。
 
 
その名も、
 
 
『体育ではじめる学級づくり』→ http://amzn.to/2ygRqpJ
 
です。
 
 
タイトルだけを見ると、なぜ体育が学級づくりにつながるのか?
 
と、疑問が浮かぶかもしれません。
 
 

体育の授業はどのような位置づけなのか?

 
体育授業は、運動技術の学習を中心にしながら社会的行動の学習や認識的・反省的な学習も含み込んで学習が進められていきます。
 
そこを「かかわり」である社会的行動の学習に少しだけウエイトを置いて授業を考えてみましょうということになっているのです。
 
このような教科の特徴があるからこそ、体育の中でこそ大いにソーシャルスキルの獲得をできる場面が多数あるといえます。(著者:清水由先生より)
 
 
さらに、特別支援教育の視点から、川上康則先生が「なぜ、体育でこそソーシャルスキル」を培えるのかについて語られています。
 
 
まずは、現在の社会的背景からです。
 
社会の変化が招いた「あそびの貧弱化」についてです。ここには、研究会の会長である、木村順が2015年に研究会内で語られた内容を用いて説明されています。
 
「屋外遊び」から「室内あそび」へ
「ワイルドあそび」から「人工遊具」へ
「大集団あそび」から「孤立あそび」へ
「異年齢あそび」から「同年齢あそび、親相手あそび」へ
「全身あそび」から「指先操作あそび」へ
「人間相手あそび」から「機械相手あそび」へ
 
このような時代背景的要因を抑えると、現在の子どもたちは、関係性を築く
体験の希薄さから、
 
「自分本位」になりがちであったり、「他者を思いやる気持ち」の希薄化、
 
「気持ちを切り替えたり、立ち直したりすること」の難しさ、
 
「すぐにイライラする」といった耐性の低さなどが見られるも当然といえます。
 
そこを、体育に特化してソーシャルスキルの指導を具体的に提示されています。
 
 
ソーシャルスキル指導の基本的な手順として、
 
①インストラクション(概要の説明)
②モデリング(見本の提示)
③リハーサル(練習)
④フィードバック(振り返りと強化)
⑤定着化(般化)
 
について、理由と共に非常に丁寧に解説されています。
 
この流れを、行おうとすると、つい教師の長い話になりがちなところを、
 
川上先生らしい、ズバッとした切り口で、
 
「子どもたちが自分で考える」ように仕向ける仕組みを示しています。
 
 
また、
 
「数人の変化を、クラス全体の変化につなげていく、そして授業で学んだことを、それ以外の生活場面につなげていく」
 
視点を盛り込んでいます。
 
 
体育の授業だからこそ、ときには競技の中で対立やけんかも生まれます。
 
これこそ、ソーシャルスキルの獲得に重要な要素です。
 
 
ここでは、トラブルを経験させるのではなく、
 
「葛藤」と「自己調整」
 
を経験できるようにすることを強調されています。
 
葛藤の経験を通して、子どもたちは「自己調整能力」を養っていく。
 
別の言い方をすれば、
 
葛藤を通して、上手に「自己主張」できるようになり、仲間や相手との
事情を考慮し、折り合いをつけたり、言い過ぎにならないように心にブレーキをかけたりといった「自己抑制」の力を育てられるように取り組むことを川上先生は話されています。
 
 
体育の授業の本として出版されていますが、子どもたちへ向けての指導書としてだけではなく、
 
 
大人の世界の改善にも、この一冊を読むことで役立つと感じたのは私だけでしょうか。
 
 
仕事の離職や転職の一番の原因は人間関係です。
 
 
職場の人間関係が良好であれば、良いパフォーマンスが生まれます。
 
 
そのようなことが第2章に、
 
ソーシャルスキルのつまずき場面として54と、
 
その、応援プランとして109も掲載されています。
 
 
さらに、第3章では、
 
「知っておきたいソーシャルスキルの基礎知識」
 
として、
 
体育で検討できる6つのスキルを紹介しています。
 
①あいさつスキル
②自己認知スキル
③相互理解のための言葉・表現スキル
④気持ちの認知スキル
⑤セルフコントロール(セルフマネジメント)スキル
⑥コミュニケーションスキル
 
 
この第3章を読むだけでも、ソーシャルスキルの本質を凝縮して学べました。
 
 
 
ICT機器の活用場面が学校現場で非常に増えてきました。
 
また、そのような研修機会も増えつつあります。
 
しかしながら、それなヴァーチャルな体験からの学びの機会です。
 
もちろん、体育にもICT機器の活用はありますが、
 
やはり、
 
「実体験」からの学び
 
こそが体育の肝心要です。
 
 
体を通した学びを得られる、非常に大切な教科であるからこそ、
 
 
まとめで、阿部利彦先生が述べられているように、
 
①実体験から学び
②葛藤から学ぶ
③共感から学ぶ
④長期的な視野で捉える
 
視点をもち、川上先生が子どもたちに
 
「未来を託す」
 
ための活動にしていってほしいと思います。
 
 
非常に多岐に渡る学びが得られる、超超超オススメの一冊です。
 
 
【実際の書籍はこちら】
気になる子もいっしょに『体育ではじめる学級づくり』
~ソーシャルスキルのつまずきを学級経営に生かす応援プラン109~
(学研)

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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