発達障害と支援

言葉の先へ


「発達障害」ということばが世間で浸透しつつあるようです。
 


ことばは浸透しても、適切な支援の浸透はまだまだできていないように感じています。


なぜ、適切な支援が進まないのか?

さまざまな理由が考えられますが、一番の理由は発達の仕組みの理解が進まないことが大きな原因だと思っています。

現状の支援


「発達障害」でくくられている中の診断名ごとの特性を伝えるwebページや書籍はものすごく増えました。



でも、改善へ向けての具体的なアドバイスは少ないように思います。


手っ取り早い、目先の支援は多々示されています。目先の支援ももちろん大切です。


例えば、


ASD(自閉症スペクトラム症)のお子さんであれば、視覚的な支援方法を伝える書籍は多数あります。


LD(学習障害)では、読むことが苦手ならスリット付きの補助具や読み上げてくれる教科書など支援機器などの紹介。書字が苦手であればタブレットパソコンの導入など様々な試みがされるようにもなってきています。


ADHD(注意欠如・多動症)では、薬の処方について詳しく述べられている書籍もあります。
 


すぐに使える支援機器や考え方の紹介や導入が広がることは、何も無かったことを考えると、とても嬉しいことです。


視力が弱い子に、メガネを使えば見えやすくなるように、発達障害について昔は無かった支援が増え、助かっている子どもたちが多くいることも事実です。

苦しむ子どもたちと保護者


発達障害などの言葉だけが浸透していく中で、発達障害が何であるのかわからないまま使われていることがほとんどです。


そのため、何か発達につまずきのある子が学校でうまくいかないと、すべて「障害」のせいにしてしまっている傾向を感じます。

あの子は「障害があるから仕方がない」と言った、本質を見ようともせず、「障害」を理由に子どもたちのSOS、保護者のSOSから逃げてしまっているように思います。


学校もすぐに診断名を欲しがり、診断名がつくと「専門的家に任せましょう」と言い、学校と別の場所での支援を求めていく傾向が少なからずあります。もちろん、真剣に取り組み学校一丸となって取り組んでくださっているところもあります。


うわべの支援をほどこし、「様子を見ましょう」という言葉で、子どもたちの困り具合に本気で向き合えていない現状に危惧しています。



このように、本当の意味での特別支援はまだまだ広がっていないように思います。

1200人との対話から

宇佐川研(発達障害臨床研究会)という研究会を主宰する中で、この一年半で1200名以上の支援者や保護者、当事者の方とLINEによる会話をしてきました。

1200名との会話の中で、まだまだたくさんの子どもたち、そして保護者が困り、深い悩みから抜け出せないでいることを実感しました。

中には、お子さんの発達のつまずきのことで学校に相談へ行ったが、聞く耳をもってもらえず、登校中は母親が一日中付き添うように言われたケース。

いまだに、発達のつまずきを親のしつけのせいとでも言わんばかりの回答。

義務教育のお子さんでありながら、通学することを遠慮するような話があったこと。

病院での療育を受けているが、なかなか納得できるような改善への道筋が見えてこず、どのようにして子育てをしていったらよいのか自信を失っているお母さんからの相談。
 

たくさんの悩みの相談をほぼ毎週のようにいただいています。本当に苦しい思いを受け止めつつも、救えなかったご家族もあり、悔しい思いをしています。
 

一研究会にできることはたかがしれています。
 

そこで、一人でも多くのお子さんご家族へ本当の支援、根本から発達のつまずきを改善していけるような支援を全国に届けていけないかと考えました。

理解から始める発達支援


発達障害と診断がついてもつかなくても、子どもたちの発達的な背景を読み取り、内面世界に寄り添っていくと、さまざまな姿が見えてきます。


子どもたちが日々示す「なぜ?」


その「なぜ?」の中にたくさんのメッセージが込められているからです。



その「なぜ?」に発達的な視点を当てて読み解くと、「なぜならば」ということを、子どもたち自身がたくさん示してくれています。

その「なぜならば」を導きだすためには、少し特別なメガネのようなものが必要です。

どのようなメガネかというと、「基礎感覚(触覚・平衡感覚・固有覚)」を読み解き、発達のつながりから理解していくレンズが必要です。

※基礎感覚については、こちらの「マンガ版感覚統合」で理解を深めてください。

goo.gl/mkzz8U

このレンズは、誰でもつけることができます。
 

でも、身につけるには一つだけ条件があります。
 

身につける条件とは?

私たち宇佐川研は、「子どもたちから学ぶ」ということを何よりも大切にしています。

「ケーススタディ」という、実際のお子さんの事例から学ぶことを1990年より29年間続けています。

難しいケースも多々あります。特に支援に関わりだしたばかりは、どこに目を向けて良いのか分からないことも多いです。

そのようなときに、淑徳大学の故・宇佐川浩教授の「感覚と運動の高次化理論」という考えを用いると、かなりよく子どもたちがどこでどのようにつまずいているか見えてきます。

でも、この高次化理論はメガネのフレームにすぎません。

本当に必要なものは、

「あきらめない」

ということです。


子どもたちのために「あきらめない」ということが発達につまずきのある子どもたちの支援に何よりも欠かせない条件だと思っています。

故・宇佐川浩教授は「きみたち支援者が成長したぶんだけ、目の前の子どもたちが成長していくよ」といつも優しい声で語りかけてくれていました。


世の中には、「〇〇メソッド」「たった〇〇で簡単にできる」など、通り一辺倒のhow-to的な支援が好まれる傾向があります。

簡単で分かりやすければ、そんなに良いことはありませんよね。私もそのような簡単に子どもたちを伸ばせる方法があればやはり欲しいと思ってしまいます。

でも、そのようなものはありません。

なぜなら、子どもたちは一人一人違います。育つ環境によっても全く違います。そのような一人一人違う子どもたちに対して、簡単メソッドの一部分は当てはまってもすべてが当てはまることはありません。

少し時間はかかりますが、発達の仕組みについて少しずつ時間と手間をかけ、実践と検証を繰り返すことでより良い支援が提供できます。

その学びの場を、全国へ提供できたらと思い、宇佐川研を必要としてくださる方のところで開催しています。

本質へのアプローチ

世の中に、まだまだ根本的な改善を図る支援やアドバイスは少ないようです。

例えば、ASDのお子さんは聴覚の過敏さを訴える子どもたちが多くいます。

※発達につまずきのあるお子さんには触覚や聴覚の過敏さを示す子どもたちが多数います。

※触覚防衛の理解についてはこちらから↓

goo.gl/1ygPeq

すぐにできる支援として、イヤマフと呼ばれる防音効果のあるヘッドホンをつけることがあげられます。

イヤマフをつけることで、少し生活が楽になるかもしれません。

でも、いつ鳴るかわからない音におびえる生活は変わりません。

障害や発達のつまずきは改善できないと思い込んでいる方が多くいらっしゃいます。

発達の原理原則を学べば、全てがよくなることは難しいかもしれませんが、かなり改善していくことができることが多いです。

障害名よりも一人一人への支援を

例えば、ASDのお子さんには、感覚の過敏さを示すことが多くあります。

過敏さを改善するには、脳の中の仕組みを理解することが必要となります。

「原子系」と「識別系」という脳の中の処理過程の理解が必要になります。原子系が働く時と識別系がはたらく時では、脳の中の使われている部分が違います。

原子系は自分の命を守るためにはたらく必要があるため、瞬時に反応する必要があります。脳幹レベルのはたらきとなります。

それに対して、識別系は意図的な活動の中で働くもので、大脳新皮質レベルでの活動となります。

脳の機能として、上位の脳機能がはたらいている際は、下位の脳機能はブレーキ、抑制がかかるという仕組みがあります。

触覚や聴覚に過敏さを示す子どもたちは、命を守るための原子系が常にはたらいてしまい、識別系からのブレーキが効かず、いつも身構えるような過敏さを示す状態像となっているのです。

改善へのアプローチとしては、識別系が機能するように意図的な活動で大脳新皮質を使うような取り組みが必要です。

また、この識別系を使うにはもう一つポイントがあります。

それは、脳の「覚醒レベル」です。

原子系が常にはたらいてしまうお子さんは、脳の覚醒も下がり気味なことが多いのです。

脳の覚醒を高めるために有効なのが、平衡感覚を使ったアプローチです。

トランポリンやブランコなど加速度のかかる活動に取り組むことで脳の覚醒が高まり、さらに姿勢の調節機能も良くなります。また、目で外界から情報を得るために必要な眼球運動も良くなることが多いです。

平衡感覚のアプローチ #バルンポリン

触覚、聴覚の過敏さを改善するために、ブランコに乗りましょうと言われても???となるかもしれません。

しかしながら、少しだけ解説をいれましたが、脳機能のはたらきから理解するとうなずける部分が多いこともご理解いただけたかと思います。

中には、過敏さがありつつもブランコなどを怖がるお子さんもいます。そうなると、how-to的な支援はここでいきづまります。

ブランコに乗れないお子さんは、今度は平衡感覚の過敏さ(重力不安)があることが原因なことが多いのです。

赤ちゃんのころ、床に置くと泣いてしまうお子さんなどは、絶対ではないですが、重力不安の影響が強かったと考えることもできます。

重力不安を示すお子さんには、支持基底面をしっかりとつくり、縦方向に揺れる活動で覚醒を上げることもできます。

※「歯科治療と宇佐川研(支持基底面の改善から)」↓
goo.gl/hdK9ye

また、本当に小さなブランコ乗りから、何日もかけて少しずつ揺れ幅を広げるような取り組みが改善になります。

このように、一人一人の実態を丁寧に読み取りながら、適切な支援を提供することが、本当の意味での特別支援教育であり発達支援だと考えています。

宇佐川研が目指すもの

1990年の研究会スタート時より、通り一辺倒のhow-to的な支援ではなく、その子一人一人に応じた適切な支援を提供したいと宇佐川研は考えています。

これまで東京のみで開催してきた宇佐川研ですが、2017年の9月から一年半で全国14県で34回の宇佐川研を開催して参りました。

一年半で、のべ1500名以上の方にご参加いただいています。

でも、まだまだ日本全国には発達のつまずきから困っているお子さん、そして子育てで悩み苦しむお母さん、お父さんがたくさんいらっしゃいます。

私たち宇佐川研は、発達の原理原則を学んでくだされば、障害があってもものすごく伸びていけると考えています。

それは、29年間の臨床経験、支援経験からたくさんの子どもたちが本来の自分の力を発揮していく姿を見てきているからです。

現在も、宇佐川研で学ばれ、実践してくださった先生方、親御さんからたくさんの成長のご報告をいただいています。

まだ、悩みのご相談の方が多いことは事実です。

ぜひ、「あきらめない支援」の心をもち、私たち宇佐川研と共に支援の輪を広げ、一人でも多くのお子さんの笑顔を増やしていっていただけたら幸いです。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)代表

植竹安彦


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


宇佐川研LINE@登録はこちら↓
line.me/R/ti/p/%40okc9106q

今なら研究会会長の、木村順OTにりる「実践力アップ講座」2時間半の動画をプレゼント中!



関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

ページ上部へ戻る