『情緒発達のつまずきと支援』~情緒の安定レベル~ 

『情緒発達のつまずきと支援』~情緒の安定レベル~ 自主勉強会より

 
 
『感覚と運動の高次化理論第17章」では、
 
 
「軽度発達障害児にみられる情緒発達のつまずきと支援について述べられています。
 

(1)情緒へのアプローチの視点

 情緒が不安定というと、母子の愛着行動未形成やストレスフルなどの観点から捉えられることが多いのが一般的です。
 
 
しかし、それ以外の要因もたくさんあることを宇佐川先生はずっとお話されています。
 
感覚が過敏なために、大人からすると些細なことととれる事柄から情緒が不安定になりやすかったり、パターンから外れると予測できないことへのパニック起こしやすかったりすること、
 
全体の状況理解が難しいために、状況を察することができず不適応を起こしやすい、
 
自分の意見を表現しにくいために感情が爆発しやすいことなど、情緒不安になりやすい要因がたくさんあることをしっておくことが大切です。
 
では、どのような配慮点があるのかいくつか記します。
 
 

(2)情動の興奮と調節へのアプローチ

 情動が興奮しやすいという点があります。怒っている時だけではなく、嬉しかったり喜んでいたりしても、情動が興奮しすぎて混乱してしまう子が少なからずいます。
 
楽しいからよいかというと、だんだん興奮してきて本来の楽しさとは別の方向へ向かってしまいトラブルになってしまうこともあります。
 
また、ハイテンションなままになり、落ち着きや集中力を低下させてしまいます。
 
したがって、情動を上げすぎないように適正な情動域にとどまれるように、支援者は日頃から情動の様子を読み取りながら働きかけをすることが問われます。
 
刺激量を減らしたり、動きを止める、静かな場所へ移動する、関わりすぎない距離をつくるなどの工夫が情動の調節に必要です。
 
 

(3)パターン化の強さへの対応

 生活は本来的にパターン化している方が安心でき安定している。情緒安定の方略としては、パターン化され安定した生活や場面である。
 
自由度がありすぎたり、新しい場面だと理解しにくく、刺激にも振られやすいために混乱しあり不安定になりやすいのです。
 
「自由は不自由」
 
という考え方をもつことも大切です。
 
 
このことを理解した上で、安定している時は、少しパターンを崩してみることも大切です。宇佐川先生は、
 
「ゆらし」
 
という言い方をしていました。
 
 
木村先生が動画の中で解説していますが、朝のうちにその日の心理状態をA,B,Cのように査定します。
 
Cランクの日は、決められた日程で変更せずに行動し、Aランクの日は少しだけパターンを崩すことをしていきます。
 
その日の状態により、良い時はパターンを崩し(パターンを広げ)、不安定な時はパターンをまもってあげるという姿勢が必要です。
 
 

(4)全体的な状況理解が難しいことへのアプローチ

 発達障害児の場合、よくしゃべることから、本当の理解度よりも「分かっている子」と捉えられやすい。その理解度のギャップから支援の不具合になり不安定におちいりやすい。
 
 そのような場合、新しい状況は予測しにくく不安定になりやすいので、しゃべっているから分かっていると思い込みすぎないようにし、視覚的に提示して理解を促したり、文字もしくは言語で、事前に何回か予告するなどの配慮があると、落ち着いてすごしやすくなりやすいです。
 

 

(5)嗜好的な固執へのアプローチ

 軽度発達障害児の中には、青い色の事物にこだわるなど、自分の好みや癖として固執する行動も多いです。
それは、何かしら本人にとってのルール性があるのであろうが、支援者からすると、勝手にマニアックに決めたこだわりに見え、それができないと予想以上に怒ったりすることがあります。
 
その時々の調子により介入の度合いを考え、調子が悪い時は嗜好性には寛大に受け入れ、調子が良い時は介入して異なる世界を受け容れてもらうことも支援の一手です。
 
 

(6)思春期へ向けての配慮

 年齢の上昇に伴い、本人が自分で脅迫的な観念をつくりだし、不安を強めてしまうことがあります。
 
思春期の処遇の難しさは軽度発達障害児に共通する問題です。
 
心理療法的なサポートが必要とされ、カウンセリング的なアプローチも活用します。また、ここまでにいかに自己肯定感をもてているかも重要です。
 
高機能自閉症児の脅迫的な不安は、取り合いすぎるとますます不安になることもあるので、子どもによっては、話題をそらしてしまったほうが良いこともあります。
 
集団活動場面においてトラブルが発生しやすいので、発生要因を丁寧に分析して対応していくことが必要です。
 
 

(7)情緒へのアプローチ

 これまで述べてきたことをまとめると、
 
「不安定になる要因をまずは理解して環境を整え、安定をはかる」
 
ことが大切です。その後、本質的な安定がはかれるための発達的課題を工夫します。
 
状態の良いときには意図的に適度な介入をし、「ゆらし」を通して、
 
「自信をもって挑戦できるような状態をつくる」ことが大切です。

 
軽度発達障害児の情緒を読み解く際に、特に感覚面の理解がされていないケースを多く見受けます。
 
感覚面の読み取りを支援者ができない限り、子どもたちが何に不安に思っているのか理解されず、支援者の一方的な関わりになりがちです。
 
特に、「初期感覚や基礎感覚」と言われる、
 
「触覚・平衡感覚(前庭感覚)・固有覚」の知識と働きの理解を深めてください。
 
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「触覚」について前回の兵庫 宇佐川研で講義しました。
 
11月18日の第2回兵庫 宇佐川研と、岡山 宇佐川研では、「平衡感覚」について
 
かなり詳しく動画を使い講義します。
 
 
 
平衡感覚のつまずきが改善できると、見違えるほど子どもたちは成長していきます。
 
平衡感覚の改善から大きく成長していった数々の事例を兵庫と岡山では動画で解説します。
 
子どもたちの動画はfacebookでは配信できませんので、ぜひライブで学んで頂きたく思います。 
 
 
 
「平衡感覚」の知識がないと、どんなに「感覚と運動の高次化理論」を学んだり、
 
また様々な支援方法を行っても、期待以上の改善に結びつきません。
 
 
兵庫・大阪・岡山、また、その近県の方に、ぜひこの機会に絶対学んで欲しい内容です。
 
「兵庫宇佐川研」参加申込はこちらから↓
 
「岡山宇佐川研」参加申込はこちらから↓ 
 
 
今回だけは、聞き逃すと、今後の研究会を進めても、半分くらいしか支援効果がでないので、
 
多くの方に参加して理解を深めて頂きたく思っています。 
 
 
 
『兵庫 宇佐川研 開催案内」「岡山 宇佐川研 開催案内」の投稿をシェアしてくださった方には、
 
前回の兵庫 宇佐川研の動画3時間分(ケース検討と個人情報の部分を除く)をプレゼントしますので、
 
ぜひ、「触覚」のメカニズムについて理解を深めてください。
 
※シェアしてくださいましたら、コメント欄に「シェアしましたー」と書き込んでください。
 
メッセンジャーより動画を送らせていただきます。
 
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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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