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「感覚と運動の高次化理論」から学ぶ「基礎感覚」の発達の大切さ 東京宇佐川研5月度より

「感覚と運動の高次化理論」から学ぶ「基礎感覚」の発達の大切さ 

感覚と運動の高次化理論 Ⅳ層8水準

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は淑徳大学の故・宇佐川浩教授が作られた、   

「感覚と運動の高次化理論(通称:高次化理論)」を土台にしつつ、様々な発達理論を駆使しながら、発達につまずきのある子どもたちの支援アプローチを検討しいく研究会です。  
 
 
感覚と運動の高次化と言われている通り、「感覚」の知識がないと高次化理論自体が使いこなせません。  
 
 
今年度初回ということで、  
A:学ぶべキーワード
①「感覚と運動の高次化理論」ってなんだ?
②「基礎感覚(初期感覚)」ってなんだ? 
 
※<書籍>
障害児の発達臨床〈1〉感覚と運動の高次化からみた子ども理解 
https://amzn.to/2K5h9Hh
 
障害児の発達臨床〈2〉感覚と運動の高次化による発達臨床の実際
https://amzn.to/2wixsZ8 
 
 
B:学ぶべき心構え
①「覚える」ことではなく、「理解していく」こと

②「ハウ・トゥー(how-to)」に惹かれつつも、眼の向けどころは「ノウ・ファイ(know-why?)」である  


C:保育・教育・療育・発達支援の分野への木村語録
①ヒト(この子)は、ヒト(指導者)との関係性を通してしか育たず、その逆もまた真なり 

②ヒト(この子)の育ちは、ヒト(指導者)の育ちのレベルに合わせてしか見えてこない 

③ヒト(実践家)は、ヒト(担当児)との実践を通してしか育たない 

④初心者は、自分を育ててくれた担当児へは何も返せない 

⑤ヒト(実践家)かできる恩返しは、後に出会うヒト(担当児)との関係性を通してのみ 

⑥育ててくれた担当児への心の痛みを生涯抱えて生きていくのが実践家 

⑦ベテラン、あるいは実践力が高いヒトとは、
「自分を育ててくれた多くの担当児への心の痛みを自ら引受け、その後に出会うヒト(担当児)との関係性を通して積み上げてきた恩返しの実践を後に続くヒト(初心者)が育つための踏み台として提供できるヒトのことを指す」 


 ということを、研究会会長の木村順より講義をして参りました。 

感覚の特性に気づくと知的な活動への気づきにつながる

〈前置き〉  
学校での「学習」は、見て聴いて学ぶこと=「視聴覚」教育を主に成り立っています。  
 
 
しかし、知的障害が重度の場合には、見て聴いて学ぶ前に育てるべき非常に重要な教育課題があります。  
 
 
高次化理論は4層8水準で構成されています。高次化理論でいうところのⅠ層で示されている育ちの部分です。  
 
 

基礎感覚と高次感覚の関係性

◎Ⅰ層:「基礎感覚」優位の状態 

発達が初期の段階、いわゆる外界とのつながりが「基礎感覚」優位の状態です。  

発達初期は、周りの世界とかかわる際の「始点ー終点理解」や「手段ー目的関係」が未成立であるという状態です。  
 
 
また、「基礎感覚」が優位であるということです。これは、視聴覚という「高次感覚」よりも「触覚・固有覚・前庭覚」が先に機能する状態です。  
 
 
しかし、「基礎感覚」は私たちがほとんど自覚せずに使っているので、そこから生じる動作や行動が理解しづらいのです。  
 
 
伝統的な学校教育ではなじみの薄い言葉ですが、「基礎感覚」がどのように見る・聴くといった「高次感覚」と関係し、認知力や日常の行動を高めてくれるのかが解れば、取り組むべき課題はヤマほど見えてくることでしょう。  
 
 
発達初期では、「高次感覚」よりも、「基礎感覚」によって反応が誘発されているのです。  
 
 
この段階の発達の子どもたちに「基礎感覚」に「注意や意識を向ける反応」を引き出していくことで、見る・聴くといった「高次感覚」を引き出していくことができるという発達原理があることを見逃さないようにしてください。   

◎Ⅱ層:「高次感覚」が関与し始める(目や耳の育ち) 

ひとたび、「高次感覚」がはたらき始めても、この段階ではまだ高次感覚は瞬間的な使い方しかできません。  
 
 
目の前に教材を提示しても、チラッと見ても、手が動き出すと目線は外れてしまいます(瞬間的な視覚)。  
 
 
ところが、チラッとしか見ない子どもたちも、ボールをコップに入れる瞬間に、スーッとコップを10センチ移動させて少しコップに触れるような空振り(触覚・固有覚)をさせてみてください。  
 
 
あれっ?という表情が出ると、手先に目を向けて戻す(視覚の復活)のもこの時期から見られ始めます。  
 
 
この段階で大切なのは、瞬間的にしか使えない「高次感覚」であっても、「基礎感覚」で気づきを与える無造作な動きに「始点ー終点理解」や「手段ー目的関係」の学習ができるという発達原理です。  

◎Ⅲ層:「基礎感覚が高次感覚を支援」(イメージとことばの育ち)

ここまでくるとようやく「高次感覚」によって動きの調整ができ始めるので、抜き出る・向きを合わせる・はめ込む・押さえ続けるといった目的的な遊びや活動が成立していくのです。  

◎Ⅳ層:「基礎感覚が高次感覚を支援」(文字や数概念形成)

いよいよ頭の中の思い浮かんだ出来事をことばを通してキャッチボールして相手と共有できたり、まだ見ぬ出来事を想像していくような力が育っていきます。
 
 
概念という物事の共通部分を抜き出すような力において、基礎感覚を通して学び積み重ねてきた力が、概念操作においても影響しているのです。  
 

ノウハウ・方法論に陥らないために

高次化理論の体系を学ぶことよりも、「今」目の前にいる一人のお子さんを前にしてどのように高次化理論を使うと子どもたちの本来もっている力を引き出すことができるのか。  
 
 
また、高次化理論だけでは足りない部分も出てくることがあります。  
 
 
その際に、目の前の子どもたちが私たちの力量を高めさせてくれるチャンスを提供してくれているのです。  
 
 
宇佐川先生ご自身も、この部分をとても大切にされていました。  
 
 
自分の知識の枠に子どもたちを当てはめてはいけない。  
 
 
私たちが学び成長することで子どもたちが育ちやすくなるという謙虚な姿勢こそ大切にしてほしいとおっっしゃっていたことを思いだした時間でした。  
 
 
今年度も高次化理論を基本におきつつ、子どもたちの発達の可能性を私たちが学び育つことで広げていきたいと決意した東京宇佐川研のスタートでした。  
 
 
今年度もよろしくお願いいたします。   
 
 
宇佐川研 代表
植竹安彦  

※引用:特別支援教育の実践情報、(明治図書)NO.173.「悩み解決Q&A知っておきたい指導のイロハ」執筆 木村順

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