『支援のカギ!平衡感覚の大切さ』第2回鹿児島宇佐川研より

『支援のカギ!平衡感覚の大切さ』

1 豪雨にも負けず

豪雨により、高速道路の封鎖などもありましたが、第2回鹿児島宇佐川研を開催することができました。

私自身会場にたどり着けるか心配もありましたが、鹿児島のメンバーに鹿児島市内からフェリーで桜島を経由して、なんとか会場に到着しました。

どれだけの方がご参加いただけるのか心配でしたが、悪天候の中70名以上の方にご参加いただきました。豪雨でも、ご自身のスキルアップのために目的を達成される方の意思の強さを非常に強く感じ、さすが鹿児島の仲間だと思いました。

2 「平衡感覚の大切さ」

今回は、鹿児島宇佐川研のテーマでした「平衡感覚」についてお話していきます。 

発達支援において「平衡感覚」のアプローチをしないということが想像できないくらい大切な感覚です。

少し誇張かと思われるかもしれませんが、私が支援してきた中で、平衡感覚の改善から大きな成長を見せてくれた子どもたちが本当に多いからです。

様々な視点から発達を促すことは可能だと思います。ただ、これまでの支援の中で、意識的に「平衡感覚」という視点をおもちでなければ、ぜひとも取り入れていただきたく思います。

ピーナッツバルーン体験
バルンポリン体験

3 18年の実践から

これまで18年に渡り発達支援をしてきていますが、平衡感覚を中心にした指導で様々な変化成長を子どもたちが見せてくれました。

平衡感覚へ毎日のように、しっかりとアプローチすることで、身体にまひがあるお子さんでも、身体の使い方がとてもよくなっていく子がたくさんいます。

また、筋緊張の低いお子さんの姿勢が安定していったり、逆に筋緊張の強すぎるお子さんがリラックスしたような身体の使い方ができるようになったりもしています。

さらに、文字が枠におさまりづらかったり、「糸」など斜めの線の文字が書きづらかったりしたお子さんが、書字の練習をそれほどたくさんしたというわけではないのに、平衡感覚を中心としたアプローチから急激に読み書きの向上が見られたこともあります。(※発達には個人差があります。一人ひとり必要な支援内容は違いますので、平衡感覚のアプローチをすれば全て改善するということではありません。)

このように、様々な力の根底にあるのが平衡感覚のはたらきだからです。

4 平衡感覚のはたらきとは?

平衡感覚には大きく分けて3つのはたらきがあります。

  • 自律神経の調整

平衡感覚は、情緒や情動とも深く関与しています。また、脳の覚醒の上げ下げにも関係しています。

  • 姿勢の調節

姿勢を保持するには、筋力も必要ですが、それ以上に筋肉の収縮の調整が大切です。この筋収縮による筋緊張の調整の源に平衡感覚が大きくはたらくからです。姿勢が悪いからといって、叱りつけても意味がありません。それよりも、ブランコを5分乗ってくるなど、お子さんの好む平衡感覚を使った運動をしてくるほうがよっぽど効果が高いと思います。

  • 眼球運動のコントロール

文字を読んだり、事物を見比べたりするには、眼球が動かしやすいということが大切です。その眼球運動と深くかかわっているのが平衡感覚です。眼球が動くには、眼球を動かす筋肉がはたらくことで動かすことができます。教科書を読む際にまばたきが多いお子さんや、目をよく観察していると身体の真ん中を超えてものを見続けようとした際に、眼球がブルブルと揺れるような動き(ミッドラインジャーク)が見られるお子さんは、目の使い方に苦手さがあるかもしれません。

5 発達的意味に基づく支援

例えば、①文字の読み書きに苦手さがあり、②授業中も姿勢がくずれやすく、③集中し辛いというお子さんがいたとします。

そのお子さんに対して、平衡感覚のアプローチを中心に置くことで①②③の課題に同時にアプローチできるともいえます(何を取り組むべきかは、お子さん一人ひとり違いますのでhow-to的な表現は控えさせていただきます)。

6 子どもたちの主体的な学びへ向けて

平衡感覚のしくみとはたらきをしっかりと理解して支援や指導に取り入れることで、子どもたちは本来もっている力を本当に発揮しやすくなります。

また、身体の左右で違った使い方が苦手なお子さんもいます。例えばハサミで紙を切る際に右手のハサミと左手で紙を送り出すような動きなどです。この場合も、平衡感覚を使った運動や遊びを日々取り組むことで「身体の正中線(正中軸)」が整いだし、器用な身体の使い方へとなりやすくなります。

私の指導経験から、平衡感覚の取り組みを続けることで、子どもたち自身が自分の身体を使いやすくなることに気づきます。自分の身体が使いやすいということはとても主体的、意欲的な学校生活になる源でもあると考えます。

新学習指導要領では「アクティブラーニング」ということが示されています。授業づくりにおいての工夫はもちろん大切です。合わせて、これからの時代、子どもたち自身の学びやすい身体を整えていく視点というのも欠かせない時代だと私は考えています。

7 「知る」ことから支援がはじまる

子どもたちが何かうまくいかない時に、「なぜ?」うまくいかないのか理由を知ってほしいと思います。

子どもたちは誰も叱られたいなどは思っていません。文字だって上手に書けるようになりたいと誰しも思っています。

そのうまくいかない状態に対して「やる気がない」「気持ちがたるんでいる」という言葉で片づけないで欲しいと切に思います。

また、全てを発達のつまずきのせいにもしてほしくもないです。

そもそも、子どもたちが「やってみたい」「楽しそう」と思う活動であるのかどうかも大切です。

その上で、支援者側も子どもたちがうまくいかない背景に目を向けていただけたらと思います。 

今回の平衡感覚のしくみとはたらきを、ほんの少し知るだけでも子どもたちが困っていることに気づくきっかけになるかと思います。 

困っている子は「怠けている子」ではありません。 

誰よりも「人一倍頑張っている子」かもしれません。

 頑張ってもうまくできないけど、「あきらめないで挑戦している子」かもしれません。

ぜひ、「知ること」から支援をはじめていただきたいと思います。

宇佐川研代表

植竹安彦

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『8月10日 第4回 岡山宇佐川研』

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『9月8日 第4回 群馬宇佐川研 開催決定』

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『9月29日 第4回 静岡宇佐川研 開催決定』

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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