ケンカの仲裁は可視化で

ごそのシャドー(支援員)・ストーリー

~ごそは、小学校で支援者をしています~

はじめまして、小学校で支援員をしている「ごそ」です。学校で起きる日々の出来事を発達の視点を通してお届けして参ります。指導や子育てに何か生かしていただけることがあれば幸いです。

今日もケンカ

児童C:「ごそ先生!たいへん!A君とB君が、ケンカしてる!こっち、きて!!」

体育着姿の女児が、そう言って現場へと案内してくる。私は足早についていく・・・

3年生の男子2人が、玄関前、階段下でもみ合っていた。

私は2人に割って入り、とりあえず引き離した。

児童A:「せんせ!こいつが勝手に殴ってきたんだ!」

児童B:「うるせーお前が勝手にしたからだろ!」

両者、一斉にわめきながら、まだ互いに蹴りを入れたり、パンチし合っている状態。ギャラリーも増えてくる。

仕方ない・・・

私は、呼びに来た女児に

ごそ:「担任の先生に、この2人、私のところにいる事、伝えてくれるかな?」とお願いした。

そして、詳しくケンカの理由を聞こうと二人を空き教室に連れて行った。

A君もB君も、もみ合ってからの事柄、『蹴った』『叩いた』の話しかしてこない。

2人を落ち着かせ、

ごそ:「なんで取っ組み合いになったのかな?」と、順を追って聞くため、ホワイトボードの前で聞き取りをはじめた。

ケンカを可視化で興奮から納得へ

二人からの話を<コミック会話>の方法を使い、そこに、ごそ流アレンジを加え、見て理解できるようにしていった。

相手の言った言葉(セリフ)を吹き出しにして書き込む。相手のしてきた行動を手や足に動き(矢印➡)を付けて確認していく。互いに間違いないか確認しながら、ホワイトボードに書き込んでいく。

私はB君に

ごそ:「階段にいたAくんを、なんで、どついたの?」と聞いた。

B君:「だって、そっちは2年、4年、6年だけが使う階段(東階段)なのに、そっちから、上がっていちゃだめだよって・・・3年は違うよ~こっちだよって・・・」と。

ごそ:「あっ、それ伝えたくって、そういう気持ちでこっち来いよって、A君の肩に触ったんだ・・・そうか・・・」

私はB君の棒人間にこの思いを書き込んだ。

ごそ:「A君はなんで、その東階段の三段目に上がっていたの?」

Aくん:「体育していた校庭が気になって、ちょっと高い場所から見たかっただけ・・・」

A君が階段にいたときの思いをホワイトボードに書き込む。

Aくん:「そしたらさあ、B君が急に叩いてきたんだ」とA君は付け足して言ってきた。

Bくん:「ちがうよ!何度か、お前に言ったのに、階段からおりないからだろ!」と反論。

B君の気持ちも、書き込む。

ごそ:「B君の声掛け聞こえていた?」とA君に私は聞くと、

Aくん:「聞こえてなかった・・・」

ごそ:「どこから声かけたの?」とB君に聞くと、

Bくん:「階段の下から・・・」

そして、3人でホワイトボードを見ながら、互いの本当の想い(★印)を確認する。

A君もB君も、はっと気がついたような表情をしていた。

ごそ:「お互いに、勘違いしていたんじゃない?」と私は2人に声をかけ、二人の目を交互にのぞき込んだ。いきり立っていた2人の背中の力が、スーッと抜けていくのがわかった。

どちらからともなく、「ごめん・・・」「わるかった・・・」と声がもれていた。

可視化する意味

『言葉』のキャッチボールだけでは、本当のコミュニケーションにはならない。『言葉』を使って、自分の『意図』を伝え、相手からの『言葉』を聞いて、相手の『意図』を想像する力があってこそコミュニケーションとなる。

そう、『言語』というのは、相手との『意図』のキャッチボール

今回のケンカは、言葉を使っても、相手の意図を互いに想像できなかったから起きたものだった。(言葉がちゃんと届いていなかったこともあるのだが・・・)

意図のキャッチボールがちゃんと出来ずにケンカになっただけだった。

だから、コミック会話を用いて互いの意図が可視化されれば、思いがはっきりと伝わる。

文字から相手の意図がはっきり、伝わってくる。

ケンカの仲裁の時、感情が高ぶっていたり、ASD傾向で相手の意図を慮ることを苦手とするお子さんもいるから、この方法をよく使う。

可視化プラスアルファのロールプレイ

そこでさらに、私はA君B君にたずねた。

ごそ:「またこの場面になったら今度は、どうする?」と。

3年生の2人は考えていた・・・

3人で現場に戻り、もう一度そのシーンのロールプレイをした。そして、立場を逆にしてのロールプレイもした。

Bくん:「この階段、違うよ。聞こえてる?どうしたの?」A君の側によってからの確認の声掛けをした。

Aくん:「ちょっと、体育していた校庭に忘れ物がないか気になって見たいから、ここにいるだけ・・・」

相手の意図が分かっただけでは、なかなか次への、未来への行動へ結びつきにくいことが多い。解決して終わりでは、まだまだ足りない。再びこのような場面に遭遇したときにどう、自分はどんな行動したらいいのかの学習も必要だろうと考える。

だから、いつも私は、『次にあったら、どうする?』のロールプレイをも、セットにしている。また、自分と相手の役を交換してロールプレイすることで、相手の意図を実感として、理解しやすいと考えている。

ごそ:「きっと、その伝え方の方がケンカになりにくいよね。はい、おしまい。授業に戻りましょ」と私。納得した様子の2人は、30分遅れて教室に帰って行った。

学級を支えるシャドゥとして

日頃から連携の取れている担任の先生の生徒だからこそできる支援。

子どもたちの意図のキャッチボールだけでなく、大人たちも意図のキャッチボールも日頃からできてないと、この支援はなかなか難しいかな・・・と感じた、ごそでした。

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ごそのプロフィール

ごそは、発達障害をもつ、息子と娘を育てている、かーさんでもあり、ごそ自身にも発達にクセがある支援者。特殊な子育てや、クセのおかげで、職場の小学校では発達障害をもっている子どもたちの目線に立ちやすいかな・・・と思っている。

※1 ごそ:新潟県地方の方言で『ごそ』『ごそつき』は、『ごそごそしていて落ち着きのない様子』をいいます。私は学校や地域の人々に、「ホントに、おまんは(お前は)ごそだね・・・」と言われていました。

※2 シャドー:アメリカでは支援員をシャドー(影)といって、担任の先生と同等、または専門職としての地位が確立されているそうです。日本もそうなるといいですね。

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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