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大人ってずるい ~何で子どもだけ叱られなきゃいけないの?~

目次

「叱る」ということ

「何やってるのっ?」
「まったくもうっ(ため息)!」
「早くしてよっ!」

日常生活で、子どもの行動にイライラさせられること、多々ありますよね~。
私もあります、あります。

けれども、叱って行動が修正されるかと言うと、そうでもない。
その場を、大人の怒りの圧力で押さえることはできても
同じシチュエーションが起これば、また繰り返す…またイライラ…。

そして、また叱っちゃう! 「まったくもう!」
うわぁ💦、負のスパイラル!

この負のスパイラルの結果として、こんな副作用があるのをご存知ですか?

・叱られないように、大人の顔色をうかがって行動を決定するようになる。
・失敗を恐れて新しいことにチャレンジする積極性が無くなる。
・失敗を隠したり、ごまかしたり、逃げたり、人のせいにするようになる。
・叱る人がいないと、その行動を抑えなくなる。叱らないとやめない。叱る人が不在だと、やりたい放題になる。
・叱られたことによって恐怖感を覚えると、チックなどの身体症状に現れたり自己肯定感が著しく下がる。
・自分が信頼している大人が「叱る」ことを常体化していると、友達とのコミュニケーションで「叱っていいんだ」「怒っていいんだ」と、叱ること、怒ることを肯定してしまう。特に力関係を読み取り、自分より弱い相手、見下した相手にこの行為がエスカレートしがちになる。


悪いことばっかり…。

でも、読んでいると、私、子どもをこういう風にしてきてしまったかも…。
反省がいっぱいです。

あれ? 大人は滅多に叱られませんね。

なぜ「子ども」というだけで叱られるのでしょう?
子どもが失敗をやらかすから?
子どもがちゃんとしてないから?
大人も失敗、しますよねぇ。
大人…私はちゃんとしていない所だらけで…。

そこで…

叱っている自分について、分析してみた

例えば…
朝、台所に立って、バタバタお弁当の用意をしている時。(朝3人分のお弁当を作ります)
えーっと長男の水筒と…(アイロン台の側を通る)
あ、アイロンしてなかった、スイッチ入れて…【目に入ったものに注意がそれる(転導性)】


(時計が目に入り)あ、長女起こさなくちゃ【さらに転導】
(アイロンのスイッチ入れたことを忘れて)【ワーキングメモリ小】
あ、起こす前に新聞取りに行っておこう…。
慌てて出て、開けっ放しの食器棚扉にゴツン【ボディイメージ弱】

新聞を取りに行って戻ってくると、
・麦茶だけ入っていて、蓋をしていない水筒
・つけっぱなしのアイロン
・開けっ放しの扉たち  
未完のタスクがいっぱい…
 
こんな私なので、これは支援しなくては、と(笑)、
刺激に振られず、やるべき事をきちんと漏らさず実行できるように、
常に「メモメモ」と言ってメモを取るようにしていますが…

メモを取る前に何か目に入ると、他の用事を思い出してそちらに気が行き【転導しまくり】
メモを取ることにたどりつかないこともあります。
そして翌朝「何だったっけ…(涙)。」と、途方に暮れる…。

私ほど、ひどい人は少ないかもしれませんが、皆さん、宇佐川研で学んでいくと、子ども達の特性
ある行動について、大なり小なり「あ、これ自分だ」と共感されるところがあるのではないでしょうか?

そこを「直しなさい」と言われても、難しいかも…。

叱っても直らない「行動の理由」

直して欲しいから「叱る」のに、何で直せないのでしょう?
そんな「行動の理由」を考えてみました。

①叱る人は、怖い顔して、怒気を発しながら近づいてきます。
特に、子どもにとって、身長差のある大人は巨人!怒った巨人が近づいてくるのですから、それは恐怖でしかありません。
恐怖を感じると脳は委縮してしまって、思考能力が奪われます。つまり「自分が何をしでかしたか」「自分はどうすればよかったのか」等考える能力が働かなくなり、あとに残るのは「怖いっ」という思いだけ。肝心なことは忘れてしまう結果になります。

②急いでやって欲しいのに、何でもすごく時間がかかる場合。
もしかしたら身体や手先が不器用で、本人は一生懸命最速でやっているけど、できないのかもしれない。大人でも不器用な人はいます。でも、わざとモタモタしているわけではないですよね。そこを「早くしなさい!」と言っても…100mを10秒で走りなさい、と言っているのと同じかもしれません。

③記憶力に関わる脳が未発達なために、以前に叱られたことを忘れてしまって、同じことを繰り返す場合もあります。
大人は記憶力の衰えで、忘れっぽくなり、同じことを繰り返してしまいますね!

④例えば、ちょうちょを追いかけていたら知らない所に来ていたというように、周りの状況に気づく力が未発達で、自分が叱られる状況に陥っていることに気づかない、ということもあります。
大人も何かに気を取られていると、約束の時間を忘れてしまったり、スーパーなどで何かに(おしゃべりに?)夢中になり、気づかず皆さんの進路を妨げている事、ありますよね。
子どもも、そして大人も!褒めて欲しい、認めて欲しいと思っています。子どもは性格や時期で、たまにわざと悪さをする時もありますが(笑)、ほとんどの場合は悪気無く「何度もやらかしてしまう」のです。そして大人も…。

自分のことは棚に上げて、子どもには求めてしまう

けれども、私も含めて大人は、自分のことは棚に上げて
子どもに「ちゃんとした子に育ってほしい」「きちんとして欲しい」という願いを持つ。
(自分はちゃんとしていないのに、自分はきちんとしていないのに)

自分に求められても困るのに、子どもには求めてしまう。

そして、そこに届かない行動があると「どうして、ちゃんとできないの?」「きちんとしなさい!」と、ついつい叱ってしまう。
 
大人ってずるい!何で子どもだけ叱られなきゃならないの?

叱らない対応を考えてみた

ずるい大人にはなりたくないですね!
自分が叱られたら嫌なのに、自分がされて嫌な事を、相手が子どもだからと言って
していいはずがありません。
では、大人は叱らずに対応するには、どうしたらよいのでしょうか。

自分がされたらどうだろう、と、自分に置き換えて考えてみませんか?
①伝えてもらう。気付かせてもらう。→「アイロンつけっぱなしだよー」
抵抗なく、行動が修正できそうです。
※「またアイロンつけっぱなし(怒)!」だと、反発したくなりそうです。

②方法を教えてもらう。
→「私だったら、やるべきことをリストにして、終わったらチェックしていくかな」
→「新聞を取りに行く時間やアイロンの時間を決めておくといいかもね」
落ち着いて考えながら、自分に合った方法を考えられそうです。

③手伝ってもらう。
→そもそも自分の能力以上のことを頑張ってこなしているのかも(笑)。
新聞は長男にお願いして、アイロンは旦那にお願いして、長女は自分で起きてもらおう!

そして、それを再び子ども目線に捉え直してみると…。

①おもちゃ出しっぱなしで、次の遊びに行ってしまった!散らかしっぱなし!
→「前の遊びが終わってないよ~。お片付け忘れちゃったかな?」
気付かせてあげると「あ!」と片付けてくれることも多いです。ただ、気づかせると、再び転導して、そちらの遊びに戻ってしまうこともありますが(笑)。

②手先の不器用で牛乳をこぼした!「僕のもの!」と譲れず怒ってしまった。
→「両手で持つと、しっかり持てるね」「同じおもちゃを探せば一緒に遊べるね」
方法を伝えることで、次に同じ状況になった時の気づきに繋がります。

③靴下が履けずに怒っている。着替えが嫌で、寝そべっている。
→「怒らず、手伝ってって言ってね」
「着替え面倒くさい時あるよね。そういう時は寝そべらないで、やって、って言おうね」

怒ったり、寝そべったりしている時は、やっぱりそのお子さんのコンディションではキャパオーバー。正しい方法でヘルプを出すことを覚えてもらうと、マイナス行動で表現する回数を減らすことができます。

叱ると副作用があるのに、落ち着いて対応すると、素直に行動を修正できる、次に同じ状況になった時に気づきに繋がる、マイナス行動を減らせる…。

どうやら、こっちの方が良さそうな。

それでもイライラしちゃう時

「子どものマイナス行動なんて、イライラしちゃって、落ち着いて対応なんてできない!」

わかります、わかります。イライラしますよね。
大きい声や、厳しい表情で、泣き叫ばれたりすると、こちらの不快な感情も大きくなって
「いい加減にしなさい!」と言いたくなる。


そこを踏みとどまるための3つのおまじない。

①イライラや怒りの感情のピークは6秒待てば過ぎるそうです。
感情が爆発しそうになった時、ぜひ「1,2,3,4…」と6まで数えてみてください。
感情をぶつけてもお子さんによい方向には働きません。
ぶつけた感情がさらにお子さんのマイナス感情をあおり、マイナス感情のぶつけあいになってしまうこともあります。

②イライラする行動に出会ったとき「もう(怒)!」と思う前に、ちょっと頭の中で
「でも、この行動の理由はなんだろう?」と分析してみてください。
識別(物事を感じ取り弁別する)系スイッチが入って冷静になれますし(笑)、行動の理由が推測できれば、その対応も見つかるはず!

③そして、それでもダメそうなら、刺激を遮断してクールダウンしましょう(笑)。
子どもと一緒です。お子さんの安全を確保した上で、トイレにこもる、
他の人に見守りを頼んで外に出る…それもアリです!

「6まで数える」「行動の理由を考える」「クールダウン」

頭の片隅にでも置いていただけたらと、思います。

私はもっぱら「行動の理由」を追求しています。
理由がわかるとイライラしていた子どもの行動を「仕方ないなぁ」と笑って見守れるようになります。これ、ホント!

でも、宇佐川研や発達支援.comを知らなかったら、ずっと行動の理由がわからずイライラし続けていたと思います。これもホント(笑)!

なので、保育士にゃーは、今日も学び続けます…。

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