宇佐川研の発達支援の考え方

『それしかないわけないでしょう』

今、子どもたちに人気の「ヨシタケシンスケ」さんの絵本「それしかないわけないでしょう」を子どもたに読み聞かせをしていると、ふと思うことがあります。

支援の方法や考えも「それしかないわけないでしょう」って頭の中に問いかけられます。いろんな支援の形があってもよいと思いつつも、逆にいろいろありすぎて、どのように考えたらよいのだろう?ということについてお伝えしていきたいと思います。

様子をみましょう

みなさん、これまで相談機関や病院で「様子を見ましょう」と言われたことが何回ありますか?

専門家に見てもらえば、きっと何か道が開けると思い通ったのに、また様子をみるの?何の様子を見るの?と思われたことはありませんか?宇佐川研にご相談にいらっしゃる保護者の方から、よく耳にするフレーズです。

専門家に相談しても改善しないというのはなぜなのかちょっと考えてみましょう。

発達につまずきのある子の支援・子育ての考え方

発達につまずきのあるお子さんを育てたり支援するにあたり、どのような流れで支援や子育てをしていけばよいのか宇佐川研流の考え方をお伝えします。

いろんなところで我が子の発達の相談をしてもスッキリしなかった人も、少しスッキリくっきりしてくるはずです。
先にお伝えしたいのが「人の発達って複雑」ということです。

相談機関や病院にしても、自分のところの専門性の枠にあてはまることであれば、保護者が求める答えに近いものを出せるかもしれないです。でも、専門から少し外れた部分に答えがあるお子さんであったとしたら、答えきれないものがあるということです。

お医者さんへ行くにしても、目の見え辛さであれば、内科ではなく眼科へ行くと思います。

しかしながら、発達のつまずきにより現れてくる症状は多種多様であり、どの種類の専門家へ聞いたらよいのかわかるようで分からないのが現状です。

そこで取り入れていただきたい視点として、支援者であれば当然としても、保護者の方も発達の知識を得る努力をしてほしいと思います。

ものすごい大変な努力ではなく、良い情報を得られる手段や、信頼できるお友達を少しずつ増やすということでもよいです。少しずつ積み重ねた点が、いつか線につながる日が来るからです。点が線になり、面になり立体的なものになった時には、お子さんのつまずきに対する悩みはかなり小さくなっているはずです。

ネットで検索したり、書店で本を見ても、いろんな人がいろんな発達支援の方法を語っており、どれも正しそうに見えるので、何を信じたら分からなくなるのも当然です。

そして、いろいろと取り組んで来たけれど、「何か違う気がする」というお話を保護者からよく伺います。

宇佐川研流、発達支援の3つの流れ

そこで宇佐川研が提唱する、発達のつまずきのある子の発達支援の流れとして、次の3つをお示ししたいと思います。

①つまずきの原因を把握する
②発達の仕組みを大まかに知る
③ つまずきの原因を改善する毎日簡単に取り組めるアプローチを続ける

この3つになります。そして、この3つの流れを、螺旋を描くように繰り返していく感じです。

どのような意味合いかというと、的を射た支援を受ければ、改善が進みます。そうすると当初悩んでいたことや困っていたことは改善していきます。しかしまた、新しい悩みや困りごとが浮かんでくるものです。そこで、もう一度①から順に取り組むというサイクルです。

一番難しいのが①の「つまずきの原因を把握する」です。

それができたら苦労しないという声も聞こえてきそうですね。先ほどお伝えしたように、お子さんが示すいろんな困難さの原因が、まさかそんなところにあるの?となるのが発達のつまずきだからです。

例えば、腰痛で悩んでいたとします。ネットで「腰痛 改善」と検索したとします。
そこで出てくるツボ押しやストレッチ方法で効果が出る人もいれば、やはり良くならないということがあるでしょう。

良くなった時は、自分の腰痛の原因と方法がたまたまマッチしていた場合です。
良くならなかった方は、原因に対する改善の方法が違っていた場合です。

腰痛の原因はたくさんありますよね。ということはネット検索して、ほんの数個の方法だけで改善することは稀だということになります。

発達支援においても同じです。ネットで調べると、いろんな改善方法は出てきます。でもそれが、何の原因に対してなら効果が出るのかまで書かれていることは少ないと感じています。

判断できる基準をもつ

そこで、ぜひ少しずつでも取り組んでいってほしいのが、②の発達のしくみを大まかに知ることです。

赤ちゃんが生まれてから二足歩行をするまでの大まかな発達の流れと、小学校へ入学するくらいまでの運動発達と認知発達の関係性です。

ここを大まかにでも一度聞いておくと、お子さんのつまずきの原因がつかみやすくなります。発達の大筋を知っておくことで、支援プランを提示された際に「うん?これは本当に理にかなっているのかな?」と疑問をもつことができます。

すべておまかせにしていると、支援プランがずれていた際に、その取組をするお子さんの貴重な時間と労力がもったいないことになるからです。

赤ちゃんの発達を知る際に欠かせないのが、宇佐川研の支援の土台となっている『感覚と運動の高次化理論』でおなじみの「基礎感覚(触覚・平衡感覚・固有感覚)」の仕組みとはたらきです。

何となく聞いたことはあるので、しっているつもりになりますが、実際のお子さんの行動を読み取るまで生かすにはやはりケーススタディで一度理屈と実践をつなぎ合わせる作業が必要です。

保護者の場合であれば、発達を一から勉強するのは大変すぎますので、漫画版の感覚統合を読む程度で、後は宇佐川研のメンバーに解説してもらうというのが手っ取り早いと思います。いずれ、こちらのBlogにも、発達の流れを示したいと思いますので、もうしばらくお待ちください。

漫画版感覚統合はこちら

①と②で支援の的が絞れましたら、週に4回の3ヶ月をスパンとしたホームプログラムを家庭や学校、デイサービスなど、どこかで実践していってほしいと思います。

なぜ、週に4回3ヶ月かというと、脳機能の改善を図る取り組みがほとんどだからです。

例えば、触覚防衛反応の改善として、宇佐川研では木村順考案のタッチングという触覚へのアプローチを推奨しています。触覚へのアプローチではありますが、触覚を通じて脳へアプローチしているということを押さえてほしいと思います。

触覚防衛反応についてはこちらをお読みください。

特に、基礎感覚の取組みは、基礎の感覚というだけあって、すべての発達の土台づくりと言えます。基礎感覚については、必ずといってよいほど、一度チェックシートを使うなどしてでもよいので、確認をしてほしいと思います。

基礎感覚に積み残しをしたまま、いくら支援をしていっても、これ以上伸び辛いという状態にすぐになりがちだからです。

そして、世に目にするおおよその支援が、基礎感覚を整えたらものすごく効果が上がりやすいものが多いです。

行動療法であったり、言語の取組みであったり、カードを使ったコミュニケーションであったりと、基礎感覚が整うと効果が現れるものが以上に多いからです。

それしかないわけないでしょう

最後に、専門家であったり、お知り合いであったりと、ご助言をいただいて取り組んでみたとして、何かしっくりこないなぁと思った際は「それしかないわけないでしょう」と、もう一度お子さんの実態の読み取りから何か違った原因かもしれないと考えてみてください。

自分の知っている支援の方法論に無理やりお子さんをはめ込んで実践をしようとすると、うまくいかない際に障害のせいや、お子さんのせいにしてしまいがちです。

そのようなことをしても、何も誰も良いことはありませんので、ぜひ、いろんな視点をもちよりお子さんの良さを活かし、そして苦手なことは、お子さんが楽しみながら取り組めるアプローチを考えて支援をしていってほしいと思います。

30年間ケーススタディにこだわり続けている宇佐川研だからこそ、お子さん一人ひとりに適切な支援をお届けられるように一緒に学んでいきましょう。

みなさんの目の前の子を支援できるのは、やはりみなさんにしかできないからです。

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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