いつも闘っていた息子

こんにちは。りっきーです。
今回は「触覚」についてお話をしたいと思います。

敏感さの理由は・・・

我が家の息子、産まれたときからとっても敏感な子でした。
いわゆる「背中スイッチ」は超高性能。
どんなにそっと置いてもたちまちスイッチオン!

苦肉の策で、ドーナツクッションに背中を丸めて抱っこ紐ごとおろす作戦で、何とか寝てくれたと思ったら、モロー反射で30分で起きる・・・
保育園の先生にも「30分男」と命名される奇跡の寝なさでした(笑)

当時の私は睡眠不足でノイローゼ寸前。
なぜかを考える余裕すらなく、1歳頃まではただただ「寝ない子だな~」と思うのみでした。
結局初めて朝まで寝たのは2歳半すぎ・・・長い長い闘いでした。

少し大きくなり年少の頃の息子。
今度は保育園の制作の時間に糊に触れられません。
片栗粉での感触遊びやどろんこ遊びなんてもってのほか、たちまちギャン泣きでした。

また、年中の頃までは服に水滴がちょっと飛んでついただけで「きがえる~」とパニックを起こしていました。
プールで思い切り濡れるのは全く平気なのに、ちょっと水滴がつくのだけダメなのが本当に不思議でした。

そして4歳半を過ぎたある日、宇佐川研で学んだことで突然すべての謎が解けました!

これら全てが「触覚過敏(触覚防衛反応)」によるものだったのです。
闘っていたのは私だけじゃなかった!
一番闘っていたのは息子だったのです。

感覚というのは自分にしかわからないので、息子はきっととってもツラかったと思います。

触覚防衛って何だろう?

では、触覚防衛とはどのような現象なのでしょうか。

触覚には「原始系」と「識別系」の2つの機能があると言われています。
前者の原始系はたとえば急に驚かされたときなど、命を守る本能として働く機能です。
後者の識別系はたとえばカバンの中を見ずに中の財布を探り出して出すなど、意図的に触覚を使う機能です。

正常な発達の場合、命にかかわるような場面でない限り、脳機能として上位にある大脳新皮質が使われることで下位にあたる脳幹レベルの反応は抑制されるようになっています。大脳新皮質レベルで働く識別的な触覚(識別系)が優位となることで下位にある脳幹レベルで働く触覚(原始系)にはブレーキがかかるはずが、発達に課題のある子たちはこの脳の中の交通整理がうまく働かないことが多く、常に「原始系」の反応が出てしまいがちです。これが「触覚防衛反応」といわれるいわゆる「触覚過敏」をもつ子どもたちの状態像です。

ずっと「原始系」が働いていると想像してみてください。常に何かから脅かされているような状態は、とっても疲れると思います。

息子は常にこの状態で過ごしていたのです・・・

「触覚防衛」のある子は自分から触りにはいけても、人から触られるのが苦手で拒否してしまう場合も多いです。これは触覚防衛反応の特徴の「取り込み行動」と言われるもので、自分からは触れることはできても、相手から触れられるときは依然「原始系」が働いているから拒否することが多いのです。

触覚への2つのアプローチ

我が家では行った触覚過敏(触覚防衛)に対するアプローチは、2つだけです!

まず一つ目は、お風呂で身体を洗うときに、本人に触る場所を伝えてからスポンジで圧をかけることです。
ポイントは本人が触られる場所を認識してから、そっと触るのではなくぐっと面で圧をかけることです。点ではなく面で触れます。識別系の触覚を使うことを意識します。

そして二つ目は、お風呂あがりに身体にクリームを塗るときです。
これも本人に塗る場所を伝えてから、手のひらを使って少し押し付けるようにボディラインに沿って触れていきました。両側から体幹を意識して圧をかけていくことでボディイメージの向上もはかっていました。

やったことは本当にこれぐらいですが、毎日欠かさず行いました。

初めて1~2ヶ月でまず、服に水滴がついたときにその場所を折ったり、ズボンに入れたりして隠してしまえばパニックを起こさないようになりました。
その後しばらく家にいるときはドライヤーで乾かすという術を覚えて自分なりに対応していました。
他の部分の育ちも相まって折り合いをつける力が芽生えてきたように感じました。

そして1年後気づけば濡れても全く気にしないように!!

時を同じくしてアプローチから1~2ヶ月後、糊を触っても拭けば大丈夫になり、横に手拭きがあれば制作に取り組めるようになりました。

年中時あんなにダメだったどろんこ遊び、年長時には恐る恐る参加、1年生ではなんと身体ごと泥にダイブするまでになりました!!

安心して過ごせるということ

感覚過敏(触覚防衛)が軽減されることは、こんなに毎日が過ごしやすく、豊かになるものなのかと、息子を通して感じる2年間でした。おびやかされる状態が減ると、子どもは環境の中で安心して過ごせる時間が増えます。
逆に言うと、触覚防衛反応が出ていると、スキンシップを意図せず拒否してしまったりと、親子ともに大変な時期を過ごすことになりがちです。

「なぜか」を知ることができると、ほんの少しのアプローチでも着実に子どもは発達していきます。今では苦手だった初めての場所も、目的があると楽しめるようになってきた我が家の息子。この夏は乗馬体験とゴーカート乗車に挑戦してまたひと回り大きくなったように感じます!

次回は、「学習アプローチの前に身体づくりが大切な理由」についてお話したいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

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管理者プロフィール

研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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