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『対応弁別で育つコミュニケーション力の柔軟性』

目次

『対応弁別で育つコミュニケーション力の柔軟性』

型はめパズルに段階性があることをご存知ですか?

ほとんどが、子どもの遊びとして捉えられており、写真左の「パターン弁別」段階のはめ方しかしていないことが多いです。 型はめの応用的な使い方をしないのは非常にもったいない×10くらいに思います。

「対応弁別」は、お子さんに「これちょうだい」と枠の方を示します。 お子さんは提示された枠の形を覚え、見比べてから、正解のはめ板を選び、はめ込んでいきます。

パターン弁別と何がそんなに違うの?と思われるかもしれませんが、難易度は別次元といえるほど難しいことをしているのです。

それはなぜか?

パターン弁別は、はめ板を手で持ってから、パターン的に枠板にガチャガチャと当てはめこみながら入れることもできます。

この「持ってから見比べる」段階なのがパターン弁別。 それ比べて、「対応弁別」は相手の要求を覚え、目だけで見比べて、正解を選択しないといけません。

この触覚を使わないで弁別するというところが非常に難しい部分なのです。 手で触れれば嫌でも視線が手元に向きます。

しかし、視覚だけで相手の要求を理解して、目だけで選択するという行為は非常に難しい高度な行為なのです。 また、パターン弁別段階というのは、ある意味まだ自己中心的な段階と言えます。

パターン的行動ならスムーズに行えるけれども、パターンから少しでも外れると対応できず、情動が崩れてしまう段階です。パニックが多いのもこの段階の特徴といえます。

これに対して「対応弁別」は、やっていることは型はめですが、相手の要求に応じるという一段階高くなった「コミュニケーション力」を養う活動をしているのです。

本当は△の方を取りたいけれども、〇をちょうだいと言われているから、自分の気持ちではなく、相手の要求に応じるという学習です。

対応弁別ができ始めると、相手との折り合いの付け方が良くなってきます。 予定の変更など、パターン弁別段階では受け入れ難かったことが、「仕方ないなぁ」というような感じで怒らずに受け入れやすくなります。

副産物的な効果として、認知の固さが原因の偏食の場合、偏食の改善も見られやすくなります。 ※背景には、眼球運動の改善などもあり、そのために平衡感覚系の取り組みから、脳の覚醒が高まる活動をしてきているということが関連します。

覚醒が高まることで、触覚防衛反応の改善も見られていることが多いということも要因としてあります。 全て良いことづくめかと言うと、そうもいかずのところがあります。

見比べる力が高まるため、関わる人を見比べられるようになってきます。 そのため、「この人はどのくらいまで甘えられるかなぁ?ふざけても大丈夫かなぁ?」と人を試すような「お試し行動」といった関わり辛さの部分も増えてきます。

また、自我も大きく育ってくるため、絶対にやりたいことなどは「拒否が一段と強くなる」段階でもあります。 この先の象徴機能が育ってくると、もう少し先を見通す力が育ち、目の前の嫌なことを超えると自分の楽しみにありつけるから、ちょっと頑張ってみようというような行動が増えていきます。

対応弁別は何も型はめでないといけないわけではありません。

例えば給食の下膳の際に、ご飯茶碗を差し出し「これちょーだい」と示し、お盆の上に載っている平皿やスプーンなどの中から選ばせるといったこともできます。

活動の意味を理解していれば、様々な場面で子どもたちのコミュニケーション力を高めることができます。 「たかが型はめ、されど型はめ」 感覚と運動の高次化理論の中には、このように、教材教具の使い方を通して、子ども達の認知発達を育てる視点がたくさん含まれています。

下に高次化理論の書籍を載せておきますので、ぜひ学んでみてくださいね。 本を読むのが面倒!という方は、ぜひ直接研究会にいらしてくださいね。

高次化理論お仕組みを使ってお子さんを読み取る練習を毎月していますので。

「発達には仕組みがあります」 仕組みが分かると、子どもたちが頑張る姿がより強く愛おしく見えてきますから。

【高次化理論の書籍はこちら↓】

障害児の発達臨床 1 感覚と運動の高次化からみた子ども理解 宇佐川浩

感覚と運動の高次化理論からみた発達支援の展開:子どもを見る眼・発達を整理する視点 池畑美恵子

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