大好きな『特撮』を通して見えたものと感覚アプローチ

特撮が支えた長男

小6 発達障がい男児の母 田中ピラフです。

いよいよ夏休み突入!! 
息子テンション上がりまくり&母てんやわんやの毎日が始まりました。
この夏どんなドタバタ劇が巻き起こるのか!? 
保護者の皆さん、いろいろあると思いますが、一緒にがんばって乗り切りましょう!! 
 
ところで、みなさん『特撮』ってご存知ですか?
『特撮』とは、“特殊撮影技術”の略で、模型やコンピュータの画像を合成して作られたテレビや映画の作品のこと。その中でも、息子は怪獣やヒーローなどをメインとした『特撮テレビドラマ』が大好きです。
 
ウルトラマンでおなじみ『円谷プロ』、仮面ライダーやスーパー戦隊の『東映』、行け!ゴッドマンなどの『東宝』、大魔神の『大映』など…。
昭和のアナログなモノクロ映像から、最近のド派手なCGを駆使した作品まで、どれも大好きです。

最近は、どこで知ったか 九州では放送されていなかったはずの “少女向け特撮テレビドラマ”『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』に夢中です。(くまちぃ推し)

究めることは素晴らしい!! 

小2のクリスマスプレゼントは、円谷・東映の特撮全怪獣図鑑。今でも大事な彼のバイブルです。

ソフビ人形とマッチング

息子が『特撮』を知ったのは、3歳の時。
 
親戚の家で、従兄弟のお兄ちゃんが録画していた『ウルトラマン列伝』でした。
ウルトラマンと同じポーズをとったり、ヒーローと怪獣のソフビを戦わせているのに興味を持ったようで、その日はずっとウルトラマンのおもちゃを借りて遊びました。

“そんなに好きなら…”と、我が家でも ウルトラマンシリーズを録画。
ソフビ人形を買うと、毎日一緒にお風呂に入る位 ウルトラマンが大好きになりました。
 
ソフビと一緒にお風呂入ることで、大変だったことが1つ。
入浴後、毎回ウルトラマンの胴体の接続部分から、上半身・下半身に分け、タオルで拭きあげなければならないこと。そこに手を抜くと、部屋で遊ぶときに床や服が濡れたり、生乾きようなの匂いが漂ってきてしまうのです…。特に息子は、服が濡れるとワーッと嫌がって着替えなければいけなくなるので、(今思えば、触覚防衛反応ですね…)そこにストレスを感じるようになっていきました。

しかし、ある日、ウルトラマンのボディーの模様を見ながら、ヒーローごとに上半身・下半身のマッチングをしていることに気付きました。
「え?分かるの?」
 
療育先の机上課題でしていた、 “絵合わせカード”に似てると思い、早速 家庭用に新幹線などの絵合わせカードを購入。しかし、それには見向きもしてくれない…。

そしてしばらく経ち、 “お風呂に入れるソフビは5体まで!“と決めていたのを増やしてみると、どれだけ増やしてもマッチングできたんです!!
「え!! すごい!!」

そして、またしばらくすると、今度は下半身だけ見て「ウルトラマンレオ!」「ウルトラセブン!」と、ヒーロー名が言えるようになっていました。
「天才かも!?」(←親バカですw)

療育先などで報告という名の自慢をすると、「 ウルトラ博士!」と呼んでくださったり、一緒に驚いてくださる方もいたりして、調子に乗った私は、とことん付き合ってやろうと思いました。

その後、ウルトラマンの上半身・下半身をマッチングする絵合わせカードを見つけ、そのカードであれば 家でも絵合わせカードをしてくれるようになりました。

かなり年季の入ったソフビ。どれが一緒か分かりますか?

変身ポーズはできるけど…

幼稚園は、園内に児童発達支援事業所があるところに通っていました。

通いはじめた頃は、母子分離ができず、泣きながら私を追いかける息子を見て、私も泣いてしまうこともありました。教室から脱走することもしばしば…。そんな毎日でも、少しづつ園にも先生にも慣れていきました。

園生活の中で苦手だったのは、運動会・音楽発表会などのイベント。児発内での少人数の練習は、ゆっくりな子ども達のペースを見ながら進めてもらえていましたが、所属している幼稚園のクラスの参加はとても厳しい。人数が増えることで楽器や声も大きくなり、先生の指導の声も大きく厳しくなり、聴覚防衛反応バリバリの息子には、とても苦痛な場所でした。

お遊戯の振り付けもなかなか覚えられず、
「おうちでも練習してください。」
と言われましたが、家で曲をかけると怒って泣き叫ぶ。
「ウルトラマンの変身ポーズは、教えなくても覚えられるのに…。」
と、思っていました。

イベント前、どんどんナーバスになる息子を見て、私もどんどんナーバスになっていきました。

そんな息子の発表会は、毎回ドキドキ。
私からすれば、発表会を楽しみする余裕はなく、
“最後までステージにとどまることができるのか?”
“パニックになって、周りに迷惑をかけないか?”
心配でハラハラしていました。

「最後の1回。本番乗り切って欲しい…。」
発表会が終わったら、頑張ったご褒美にウルトラマンのおもちゃを買うことを約束したりして、発表会をなんとか乗り切りました。(脱走したこともありますが。)

当日、お遊戯の振り付けはふわっとした感じで踊り、周りの子との距離感が分からずぶつかってしまったり。本番に小道具で出てきた袋入りのお餅に夢中でお遊戯そっちのけで集めたりしていましたが、お遊戯最後の舞台からはける瞬間、本人がアドリブで入れた“エメリウム光線”は、ピシッとかっこよくきめてくれました。笑

“そうか。「変身ポーズ」は、ウルトラヒーロー全員分覚えている。
腕の曲げ伸ばしも角度も、足の広げ具合も、掛け声も完璧。
お遊戯は上手くできなくても、好きなものであれば完璧にできるんだ。”
そのことに気付いた時、このままでいいのかと不安はありましたが、ちょっと気持ちが楽になったのを覚えています。

そしてラストの“エメリウム光線”
本人の気持ちは違ったかもしれませんが、自分のテンションをあげるために、ご褒美として最後にキメてきたように見えて、とてもいじらしく見えました。


(ちなみに後日、“とても上手だったので、もう1回踊ってみよう!”と、先生が言われると、とても怒ったそうです…。“ラスト1回”。しっかり覚えていました。笑)

一時停止して変身ポーズを完全マスター/退場間際のエメリウム光線

ウルトラ怪獣の触探索

小学校に入り、保護者向けの算数の教材セミナーに参加しました。その時に紹介された教材の中に、『両手取りボックス』というのがありました。
両手取りボックスというのは、テレビでよくある『箱の中身はなんだろうな?ゲーム』のような感じで、自分から見えない箱の中に入っているブロックを触って、言われた数字の数だけブロックを箱の上に出すというものでした。

その頃の息子の数の数え方は、指を折ったり、ブロックやイラストを指で押さえながら数唱していました。数の概念が入っていないと思い、家でもチャレンジすることにしてみました。

しかし、はじめてのことをするのに不安を持つ息子。
見えないボックスに手を入れることも不安。
私の手順の分かりにくさもあって、ルールも理解できず。

「あ、怪獣ソフビ入れてみよう!」
 
それこそ、原点の『箱の中身はなんだろうな?ゲーム』に立ち戻って、怪獣当てゲームにしたら、それがヒット! 何回も何回もしてくれました。

そうか、好きなことをしている時は識別系がガンガン働くので、触覚防衛反応が出ないのだと、今になって気づく母!

そのうち、りんご、バナナ、お菓子、アイス、ジュースを入れ、
「当たったら食べていいよ~。」
といって、おやつ当てゲームへ広がりました。

そんなこんなしているうちに、そのボックスが好きになり、ブロックも出来るようになりました。

ボックスの中の怪獣を当てるゲーム ぽっちゃり・スレンダー・ぶつぶつ・突起がポイント

他にチャレンジした遊びの一部(失敗も含む)

他にも色々な遊びにチャレンジしてみました。

ASD特性でもありますが、テレビのセリフを覚えてよくマネをしていました。(遅延性エコラリア)その場合、私がアドリブを入れることは一切許されず。(笑)テレビと全く同じやり取りをしなければならないことが、小3位まで続きました。

ソフビをテレビと同じように並べることも、足部分がどっしりとした怪獣は簡単ですが、ウルトラヒーローや頭が大きい怪人を並べるのは難しく、倒してパニックになることもしょっちゅうでした。
しかし、“同じようにしたい“という気持ちは非常に強く、怒りながらも何回も何回もチャレンジしていました。

今思えば、ソフビを並べるだけでも、足首の角度で重心を変えながらバランスをみたり、ソフビ同士の間隔をテレビと同じようにするために見比べたり、倒れそうになったらすばやくキャッチしたり…。

こじつけかもしれませんが、手指の機能、動きや力の入れ具合の調節、眼球運動、固有覚、ボディイメージなどにも効果があったのではと思います。

お面(触覚防衛反応)

帽子は深くかぶれず、マスクはつけられませんでしたが、ウルトラマンゼロのお面はつけてくれました。変身ポーズをしたり、戦いごっこをしました。
モスラ幼虫(触覚・ボディイメージ)

毛布に包まれたり、ボールプールに埋まるのが好きだったので、毛布の筒状のものを買ってみました。モスラごっこをして、ボディイメージにもアプローチしてみました。
お気に入りのシーンの再現(触覚)

保冷剤+食用粉でフェイクスノーを作り雪のシーンを再現したり、夕焼けのセブンとメトロン星人のシーンを再現するために、指でオレンジの絵の具で塗ったりしてみたりしました。

 
絵の具でオープニング(触覚)

ダイソーにあるキャンバスに、ウルトラセブンの形に切ったマスキングテープを貼り、注射器・スポイド・手のひらなどを使い、絵の具を広げる。
乾いた後で、マスキングテープをはがす。

 
えかきうた(眼球運動)

テレビ「かいじゅうステップ ワンダバダ」の絵描き歌を一時停止しながら描く。
板書の練習や眼球運動・注視にも。
『行け!牛若小太郎』武器作り

映像を一時停止して、薙刀等の身長に対する長さや角度を決める。
ボール紙で土台をつくると、アルミホイルを巻いてセロハンテープでとめたり、ビニールテープで棒に固定したりした。
現在、10種類ほどの武器を、マイナーチェンジしながら楽しんでいる。
 

図鑑を読む

名前、身長、体重、必殺技、エピソードなど、分からない漢字は確認しながら読む。
子供向けの図鑑より、大人向けだけどレイアウトが決まっている図鑑の方が読みやすいことが分かりました。
キャッチフレーズ漢字選び

ウルトラ怪獣にはキャッチフレーズがついているものがあります。
漢字がずいぶん読めるようになってきたので、ランダムな漢字の候補から選べるか試してみました。候補の多すぎて続かなかったので、並べ替えから再度チャレンジしてみようと思っています。

虹のグラデーションには名前があった

同じ『自閉スペクトラム症』『ADHD』『知的障がい』などの診断名がついていても、療育に一緒になるお友達がなんなくこなせていることが、息子には難しかったり、できなかったりすることがよくありました。

自閉スペクトラム症について書いてあるの冊子には、よく『虹』のイラストが描いてあります。同じ障がいがあっても、周りの子達は虹の上の方にある赤い部分に該当しているように思えて、
「なぜ、うちの子はできなんだろう…。」
と、落ち込んでしまうこともありました。

たとえば、ブランコ。
少しの揺れも怖がり、すぐに降りてしまっていた息子。
かたや、ぶんぶん大きく長時間乗れているお友達。

しかし、宇佐川研で知ったことは、どちらも平衡感覚につまずきがある状態だったこと。
ブランコの少し揺れを怖がるのは、『平衡感覚が敏感(重力不安)』で、許容する感覚刺激が溢れてしまい耐えられない状態。
ブランコをぶんぶん長時間乗り続けているのは、『平衡感覚が鈍麻』で、感覚刺激が足りず入れ続けたい状態。

どちらも感覚の情報をうまく処理できていない状態で、どちらも子ども自身もつらく、保護者も悩んでいることを知りました。

また、息子は授業中机に突っ伏していたり、きをつけの姿勢が保てずゆらゆら揺れていたり、目の上でヒラヒラ手をかざす動きをしていたり…。基礎感覚(触覚・平衡感覚・固有覚)のつまずきがあると、他にもいろいろな行動として出ることを知りました。

宇佐川研で学ぶと、発表会の全体練習の参加の難しさにも理由があることを知りました。
・全体練習で人数が増えと楽器の音も大きくなり、耳塞ぎ。聴覚防衛反応
・指導される先生の声も大きくなり、先生に対して怒る。(聴覚防衛反応)
・最後まで踊りたくても途中でストップがかかり、パニックになる。(見通しが立たない、こだわり)
・自分の参加しないパートの練習をじっと見ておけず、ウロウロして怒られる…。(平衡感覚のつまずき 他)
・お友達との距離感がつかめず、ぶつかってしまう(眼球運動・ボディイメージ未発達 他)
・小道具のお餅が気になって、踊りに参加しない。(細部視知覚優位)

他にも、私が天才と思っていた、ソフビの下半身当ては、『細部視知覚』が優位(細かい部分の違いを見分けるのが得意)という特性で本人にとって宝物ではあるけれども、『全体視知覚』が未発達(いろいろな事柄を関連付けて理解することが苦手)なため、このアンバランスが生活に支障をきたしていることを学びました。

ちなみに、息子いわく 私は“ゴース星人”に似ているそうです。興味のある方検索してみてください。笑

『興味・関心・好奇心』は、最高のスパイス

宇佐川研で、子どもたちにアプローチする際に大切にされていることは、『本人の楽しいと思う気持ち』

『興味・関心・好奇心』のある要素をプラスすることで、より本人も家族も楽しくアプローチできることはないか考えます。

スーパーバイザーの先生方が言われる
「楽しくなくっちゃ続かないでしょ?」
「そうなんです!!」
はじめて言われたとき、髪の毛がバサッとなるほど 深くうなずきました。笑

変身ポーズだって、立派な粗大運動!!(←思い込み大事!!)
ラジオ体操はダラダラしていても、変身ポーズは手足をしっかり伸ばして、テレビの画面と見比べて完璧に模倣します。

息子は大好きな『特撮』+感覚アプローチのおかげで、爆破シーンもあるヒーローショーが最後まで見れるようになったり、牛若小太郎に出てきた甘酒饅頭に興味を持ってあんこが食べれるようになったり、苦手だったことにも、ちょっとチャレンジしてみようする姿が出てきました。 

『興味・関心・好奇心』は最高のスパイス。
いろいろな関わりに、ちょっとスパイスをふりかけて、一緒に楽しんでいけたらと思っています。

1年生の書初めは、大好きな怪人の名前でした。2文字でいいところを6文字も書きました。

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研究会の代表をしています、臨床発達心理士の植竹です。

宇佐川研(発達障害臨床研究会)は、平成2年より始まり、淑徳大学の故・宇佐川浩教授をスーパーバイザーとしてお招きして始まりました。「感覚と運動の高次化理論」を基に、臨床にこだわって行っている研究会です。

実践研(発達療育実践研究会)は、平成18年より始まり、療育塾ドリームタイムの木村順OTをスーパーバイザーとして始まりました。発達支援を行う際に必要な様々な発達理論を学び、実践を支える知識と技術を高める研究会です。

その、宇佐川研に14年、実践研に12年間学ぶ中で、第28期(平成29年度)より木村会長より代表を引き継ぎました。

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