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「 D 」ってなんだ…?〜Disorder(障害)の意味を考えてみた〜

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いきなり「D」です。わかりませんね。すみません💦。

 「ASD(自閉スペクトラム症)」

 「ADHD(注意欠如・多動症)」

 「LD(学習障害)」

 「DCD(発達性運動協調障害)」



みんな「D」がつきますね…?

この「D」は何だと思いますか?

「D」は「Disorder」の「D」です。

「Disorder」 
無秩序、混乱、乱雑、(社会的・政治的な)不穏、騒動、騒乱、(心身機能の)不調、障害、病気

(出典:Weblio ネット英和辞典)

ここでは「障害」の意味だと思われます。

なんでも「D」=障害なんですね。スペクトラム(連続体)と言っておきながら、「障害」という線引きをするのは不思議です。

目次

本田秀夫先生の講演を聞きました

本田先生は信州大学医学部、子どものこころの発達医学教室に在籍し、附属病院の子どものこころ診療部のお医者様です。それ以前に横浜の療育センター、山梨の発達障害者支援センターで勤務されており、今は様々な講演活動もされています。(YouTubeで検索すると、講演動画が出てきます)

今回の講演は、本田先生が横浜の療育センター時代に、そこでASDと診断されたお子さん(早期発見されたお子さん)の追跡調査に基づき報告されたものでした。この追跡調査された母集団は、早期に発見されて、支援を受けてきた集団です。彼らは本田先生によれば以下のような特徴があるそうです。

 ①真面目

 ②言行一致で信頼できる

 ③理念としての正義感や思いやりがある

 ④協調行動をとる意欲は身についている

 ⑤対人関係は苦手あるいは疲れやすい

そして成人期に、適切なサポートを受けながら、円滑に社会生活を送っている人が多い。この状態を本田先生は

「非障害自閉スペクトラム(ASWD)」 (Autism SpectrumWithout Disorder

と、表現されています。

つまり、特性はあるけれども「Disorder」(障害)ではない!  「AS」という考え方!

好きなものがあるということ

円滑に社会生活を送っているASの人々は、家庭と職場・学校以外の第三の場所があることが多いそうです。それは、主に趣味や余暇活動で、例えば乗り鉄、撮り鉄、切手収集、昆虫博士、折り紙名人…。好きな物の世界で、イキイキと活動し、同じ興味関心について、イキイキと情報交換、コミュニケーションを図っていく、学んでいくそうです。

これは余談ですが、ASの人々は「今日は暑いですね」などのコミュニケーションをとるための会話をあまりしない傾向があるそうです。会話は「あの鉄道は」など有用な情報交換をするためのもの。それがなければコミュニケーションをとる必要が無いのです。けれども、それは相手を嫌いとか関わるのが嫌だというものではなくて、彼らのコミュニケーション「作法」なのです。

本田先生は、趣味や余暇活動がASの人々の生活のクオリティをあげるために大切な役割を果たしていることから「特性全開で遊べる場所と時間」が大切とおっしゃっていました。でも、これって誰にでも言えること。「好きなもの」「大切なもの」があるから頑張れる。ただ、ASの人たちは、感覚面などでしんどい状況が多い。だから「全開」で遊んで心身を開放することが、より大切なのかもしれませんね。

自分のクラスを振り返ってみると…。

毎日電車のおもちゃを長~くつなげて「ドドッドドッ」と効果音=大きな声で走らせ回る「チーム鉄道」のお友だちが数名います。声がとても大きく、場所も取るのでついつい「ここはお家かな?保育園かな?」「保育園は自分だけじゃないね」と気づきを与える声かけをして、声量のコントロールなどを要求してしまいます。

もちろん、集団の場で場所にふさわしい行動をとるというスキルは必要ですが、よく観察すると、彼らも駅を想定してアナウンスを変えたり、カーブや駅の前だと「ドドッドドッ」の声の大きさや高さなどを変えていて、世界を想像、創造して楽しんでいる。何の注意もなく、思い切り遊ばせてあげる時間や空間も必要なのかな、と思いました。好き・楽しい気持ちを持ち続けることで、将来、運転手さんになるかもしれないし(笑)。考えていきたいと思います。

その時その場で決まる「不通過」

もう一つ、年末に聞いたお話がありました。

子どもの発達の様子を知るための発達評価ツール(保育パワーアップ研究会HPよりダウンロード可能)の6歳の検査項目で「片足で10秒立つ」という項目があります。10秒間立てないと「不通過」という評価になります。

が、少し身体をさすったり、揺らしたり、数分アプローチするだけで10秒立てるようになる。

けれども、その時その場でできないと「不通過」。これってどうなのでしょう?というお話でした。

「できないから」と諦めないで!

できない事に対して「手先が不器用だから仕方がない」「協調運動、無理してやらないでいいよ」と言うだけで終わってはいないでしょうか。特性からくる「できない」を「できる」に変えていくのは「保育園(学校)では無理」と諦めてはいないでしょうか。ちょっと知っていれば、子どもの「できる」を増やしていけるのかもしれない、だからこそ自分の知識を増やしていかなければ「できない」子をそのまま見過ごしてしまうと思いました。

そして、その時その場所でできないだけで「不通過」となり「Disorder」とされてしまうことの怖さを感じ、子どもをもっと、時間も場所も心の発達も身体の発達も包括的に、そして長期的な視野を持って関わっていかなくては、と自省しました。

それを考えるとその時その場でできない、から導き出される…「D」ってなんだ?
 

日頃の保育の中では

その時その場の集団生活を円滑に進めることに重点を置き、個々の「好き」を潰してしまいがち。

その時その場の出来事に「できない」「苦手」と決めつけてフォローしがち。

反省反省!


子どもが、興味関心を持って伸びていく軸=「好き」をもっと尊重していこう!

「できない」と決めつけないで、力を引き出すアプローチをしていこう!

宇佐川研でも「力を引き出すアプローチ」…バルンポリンを始めとしてたくさん紹介されていますよね。


「保育園じゃ無理」と思わず、スキマ時間を使いながら指先のアプローチ(研究会の中で時々紹介される神経マニュピレーション)などを地道に積み重ねていきたいと思いました。


未熟な保育士にゃー、の学びと実践は続きます…。

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