開催案内

開催報告

基礎感覚

基礎感覚

支援のいろは

支援のいろは

先輩ママ・支援者コラム

先輩ママの実践コラム

「発達支援の難しいところ ~症状の原因が予想外なところにある~」

学校が夏休みに入り、いくつかの学校から研修依頼をいただき、発達支援の講座をしてきました。

講座では毎回たくさんのご質問をいただきます。その中で感じるのは、若手の先生に限らず、「発達のつながり」を学ばずに支援に携わっていると、子どもが示す行動(症状)そのものに振り回されてしまい、行動を後追いするだけの対症療法的な支援になりがちだ、ということです。結果として、先生も保護者も「頑張っているのに良くならない」という状態のまま、お互いに困り続けてしまいます。

目次

📩 いただいたご質問 ― 階段を1段ずつ上れない小学2年生

特別支援学校で3年目の先生から、こんなご相談をいただきました。

小学2年生のお子さんが、階段を「1段に両足」でしか上り下りできない。入学から1年以上、毎日のように「1段1足」で上れるよう練習しているが、なかなか上達しない。

個人が特定されないよう、内容は一般化・再構成しています。

「できないから、できるまでひたすら練習する」というのは、教育現場でとてもよく見られる光景です。

発達につまずきがなければ、まだ経験したことがないだけの動きは、練習すればするほど上達していくでしょう。しかし発達につまずきがある場合、話は変わってきます。その行動を支えるための”土台となる力”がまだ育っていないからできないのであり、健常発達のように「時間が経てば自然に育つ」わけではないところが、支援の難しさなのです。

🤔 なぜ”できない理由”がわかりにくいのか

階段の上り下りにどんな発達が必要かは、体育の教科書には載っていませんし、自立活動の学習指導要領にもそこまで詳しくは書かれていません(やんわりと触れられている程度です)。そのため、先生自身がどこかで専門的に学ばない限り、原因にたどり着けないのが現状だからです。

🧠 階段の上り下りに必要な発達 ― 鍵は「正中軸」

🔵 宇佐川研の理論的枠組み

階段の上り下りには、力の入れ方(固有感覚の育ち)などさまざまな発達が関わりますが、研究会の臨床経験から特に重要だと考えているのが、平衡感覚の発達からつながる、脳や身体の「正中軸」の発達です。

🟢 発達神経学的に確立されている知見

跳ぶ・揺れる・回るといった運動遊びを通して、身体はバランスを取ろうとします。倒れそうになったときに身体を真ん中(正中)に戻そうとする「立ち直り反応」「平衡反応」は、こうした遊びの中で育っていきます。

🔵 宇佐川研の理論的枠組み

この身体の”真ん中”が育ちきれていない子どもは、片足に体重を移して立つ(片足立ち)時間が短くなります。片足で身体を支えていられる時間が短いと、上げた足をすぐに地面につかなければ転んでしまいます。そのため階段の1段ごとに、ペタペタっと両足をつく歩き方になってしまう ― これが、研究会が臨床から捉えているメカニズムです。

🏃 取り組むべき自立活動の例

🔵 宇佐川研の理論的枠組み

宇佐川研の理論的枠組みに基づく支援例:

  • バランスボールに座って、ぴょんぴょん跳ぶ遊び
  • ブランコに乗る遊び
  • ボールに座った状態で、ほんの数センチ傾かせても落ちないようにバランスを取り直す運動(立ち直り反応を引き出す)

このほかにも、足の裏の感覚を整えるなど取り組むべきことは多々あります。しかし、「正中軸を育てる」という発達の本質にあたる部分が抜け落ちていると、なかなか改善には至りません。

🌱 正中軸の発達とつながる、他の力

🟡 教育的示唆・臨床的な仮説

正中軸に関連する発達は、階段の上り下りだけにとどまりません。研究会の臨床では、次のようなさまざまな力とのつながりが示唆されると考えています。

  • スキップ
  • 自転車に乗ること
  • ご飯を食べる際、言われなくてもお茶碗をスッと持てること
  • 言葉の発達 など

これらの関連性は研究会の臨床観察に基づく仮説的な視点であり、個々のお子さんに当てはまるかどうかは実際の発達の様子を丁寧に見ながら判断する必要があります。

💡 まとめ

このような発達のつながり・仕組みを知らないまま支援を進めてしまうと、そもそも支援計画のもとになる「発達の地図」自体が的を射ていないことになります。だからこそ、行動の練習だけを繰り返しても、なかなか伸びていかないのです。

「できないことをできるまで練習する」のではなく、「なぜできないのか」という発達の土台に目を向けること。それが、お子さんの本当の力を引き出す支援の第一歩だと、私たちは考えています。

SNS

TOP-PC
TOP-PC
TOP-SP
TOP-SP

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次