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「ま、いっか!」って難しい ~ごほうびくじから見えたこと~

ASD

2023年がスタートし、小学校卒業まで 残り2ヶ月。(早い!!)

6年間お世話になった学校に、あと数ヶ月でパッタリ行くこともなくなると思うと、ちょっとセンチメンタルな気分になってしまいます。
 
先日、卒業までの残り日数を ちょっと楽しく意識できないかと思い、“スーパーボールくじ”を購入。
卒業までのカウンダウンしているカレンダーの横に置き、毎日引いて楽しんでいます。

お気に入りの 地球ボールは、いつ当たるのか?
当たるまで我慢はできるのか?

お手並み拝見中 小6 発達障がい児の母 田中ピラフです。

目次

撃沈 ! 「ま、いっか!」&てへぺろ レッスン

積み木が倒れると泣く。
スケジュールが変わるとパニック。

いたるところにパニックの地雷が埋まっているような 幼少期。

あるとき、「ま、いっか!」と言えたり、“てへぺろ”って出来れば、気持ちの切り替えができるんじゃないかと思いつきました。

「ま、いっか!」
「失敗しちゃった!(舌をぺろっと出して、こめかみを軽くグーでコツン♪)」
お手本をしてみせる母。

ちょっとマネてくれることもありましたが、実際やって欲しいシチュエーションでは 一切発動せず。
“なんで出来ないんだろう…?“と、不思議に思いました。
 
今回は、「ま、いっか!」と思って欲しかった ごほうびくじの奮闘記と、宇佐川研で学ぶようになって気付いた「ま、いっか!」と思えるまでの道のりについて、まとめてみたいと思います。

くじ引きのごほうび

駄菓子屋さんなどによくある “くじ“ ” ガチャガチャ“
大好きな子どもさん多いですよね!

もちろん、息子も大好き!
歯医者さん、床屋さんなどで、がんばったご褒美にさせてくださることも多くて、息子も そのご褒美を楽しみに、なんとか建物に入ることができていました。

ただ、このとてもありがたいサービスが、息子にかかると 大変な事態になることも しばしば。

例えば、このスーパーボールくじや ガチャガチャ(見本の写真や透明の容器)など、どんな当選品が見えるか分かるものは、お目当ての物が当たらず大パニック!

でも、歯医者さんの “おもしろ消しゴムくじ“を引く 他の子ども達の様子をみていると、
「〇〇がよかったなー。」「次、当たるんじゃない?」「そうだね!」とか、
「こっちも欲しかったんだー♪」
「見てみて! 私のかわいいよ!」
と、当たったおもちゃに対して、満足げな子達がほとんど。

息子は、わーわー泣きながら「これじゃなーい!」と怒るタイプ。
あまりにも泣くので、それを見かねた 歯科助手さんが、
「よく頑張ったから、もう一回いいよ~。」
「好きなのとかえてあげるけど、みんなには内緒ね!」
と、言ってくださり、そのお言葉に甘えてしまうこともあったのですが、これまた失敗!

一度してもらったことは、しっかり覚えていて、次も同じようにしてもらえないと余計に荒れてしまう…そんな困った事態になっていました。

「わがまま言うんじゃない!」と 叱りつけ、周りの方に謝罪。
せっかくのご厚意も、結局毎度いたたまれない空気になってしまうことを、申し訳なく思っていました。
 

相談してみた

その様子を、発達の相談をしていた心理の先生に話すと、
 
「自閉症スペクトラムの子は、いつも同じでないと混乱してしまうのよ。
 “する”なら“する”  
 “しない”なら“しない”
 周りが対応を統一させないから、本人が混乱するんだよ。」
と、アドバイスを受けました。

・日によって違う(その時の雰囲気で「今回は特別!」となる… 等)
・人によって違う(この人はOKだけど、あの人はNG… 等)
・状況によって違う(周りにくじを待っている人がいる時は、みんなもしたくなるからダメ… 等)

たしかに、イレギュラーが苦手で、周りの空気を読んだりすることも難しい息子には、混乱してしまう状況だったと反省しました。

そして考えた

場所を変える 

幼少期の散髪は、触覚防衛反応も強く、カットの時 首を振ったりして 危なかったこともあって、七五三などのイベント前に利用する位の床屋さんでしたが、スーパーボールくじのご褒美のお店から、ご褒美サービスのない(あっても飴を選ぶシステム)お店にかえました。
息子の触覚防衛反応の様子や 散髪について 詳しくは…コチラ

ご褒美は、事前に私の方で準備しておく。
床屋さんに行く時は、息子の好きな “アンパンマン チョコレート”を、「終わったら食べようね。」と予告。終わったら渡すようにしました。

対応を統一

お世話になっていた歯医者さんは障害児歯科で、治療や対応もとても上手だったこともあり、場所をかえることはせず。

事前に “一度出たおもちゃは、チェンジなし。”と約束。

おもちゃが出たら、「やったー! 当たりだよ!」と少し大げさに喜んでみせ、息子の興味あるものに無理やりこじつける。(ゾウの消しゴムが出たら、「おさるのジョージの“ユニークだゾウ“のゾウにそっくりだね! ヤッタネ!」 とか)

そして、すぐにその場から離れ、家から持参したお気に入りの本や玩具を見せ、そちらに意識を向けさせました。

「know-why」ヒントは宇佐川研の中に

そんな ちょっと後手後手になりながらも、対応に明け暮れる日常を過ごしながら、

なんで いつもこんな風になっちゃうんだろう?
自閉症スペクトラムの特性だから?

納得できているような… 
できていないような…。

同じ障害名の診断がついていても、平然と出来ている子もいるし、ちょっと釈然としないところもあったりしました。

細部視知覚優位

実は 4年程前に一度、スーパーボールくじを、家庭用に購入したことがあります。
家でいつでもできる環境にしておけば、外では落ち着いていられのではないかと思ったのです。
しかし、これも失敗!(どんだけ失敗するんだw)

2日で全てのスーパーボールを取り出しました。(しかも最後は、くじすら引かなかった。笑)

宇佐川研で学ぶようになって知ったこと。
息子は、自閉症スペクトラムの子に多い 細部視知覚優位であること。

細部視知覚優位というのは、細かいところはよく見えているのに、周りは見えていないような見え方。
そもそもスーパーボールくじは、自分のお目当てのもの以外、彼には見えてなかった可能性がある。

お目当ての物がもらえると思っているのに、全く違うものを「これだよ。」と渡される。
だとしたら、「これじゃなーい!」と、怒ってしまっていたのも 仕方ないことだな…と思いました。

「言える」と「分かっている」は違う

また、宇佐川研のケーススタディに参加した際に、
「かけ算できます。」
と言われた発表者の方に、宇佐川研 会長 木村 順先生は

「九九の暗唱や、3×4=?は答えられる。じゃ、文章題だったり、おはじきで3×4を 表現するのはできるかな?」
と、聞かれました。

「言える」と「分かっている」は違う。

もしかして 息子の「ま、いっか!」も、言えるけど 分かっていない状態だったのでは…と、ハッとしました。

「ま、いっか!」と思えるには…

思い出の名札事件

息子はADHDの特性もあり、忘れ物が多い。それなのに、忘れ物をしたことに気付くと とても気にするという、本人からすると結構やっかいな(私からするとちょっと面倒くさい)ところがあります。

小学校1年生の時、朝 学校の靴箱のところで、名札をしていないことに気付いて、パニックになりました。
その様子に気付いた 支援級の主任の先生が来られて、「どうしました?」と聞かれたので、
「名札を忘れてしまったんですけど、今日はなくてもいいですか?」
と、 “いいですよ”と言ってもらえる気満々でたずねると、
「〇〇君が名札がなくても大丈夫ならOKですけど、どうでしょうか?」
と 聞かれ、急いで取りに帰ったことがあります。
(その時の心境は、「えーー! うそでしょー! 」です。)

今になって、あの場面での「本人が大丈夫なら。」という先生の言葉は、入学して間もない不安感の中で、いつもと同じであることに安心感がある 本人に寄り添ってくださった言葉だったんだと気付き、感謝しています。

アプローチ

お友達間では、勝ち負けにこだわってしまうところも、家庭でできる簡単なゲームであれば、ある程度 本人が気のすむまで付き合うこともできるなと考えました。

“もう1回すればいい”
“負けても楽しい“

と、思える体験をさせてあげたいと思いました。

10回げん(連続10回じゃんけん)をはじめた時に、はじめ心がけたのは、
・私と息子の二人で対決。(勝率が上がるため)
・私が勝った時は、過剰に喜ばない。(悔しい気持ちを煽らない)

はじめは、負けが混んでくると、片手でグーチョキパー表わすと無敵のサインを出していましたが、何回か対決するとそれもなくなりました。

そんなに負けても怒らなくなった頃に、人数を増やしてみたり、ちょっと「やったぁー!」と言ってみたりして、少し「揺らし」を与えてみました。

ねらい方法
10回げん
(連続10回じゃんけん)

何回かすれば勝てることを知る
・戦いを挑まれたらすぐにする。
・10回すれば1回は勝つ。
(勝った回数・はじめに勝った・最後に勝った 等 ヤッタネポイントを伝える)
・悔しそうだったから「もう1回しよっか?」と聞いてみる
福笑い


失敗しても楽しい。失敗した方が盛り上がることを知る
・パーツを違う素材で作ることで、ヒントになる(識別系にもアプローチ)
・うまくできたら褒めて、変な顔になったら一緒に笑う

安心感ってどこからくるんだろう?

宇佐川研のケーススタディーやセミナーに参加して、基礎感覚(触覚・固有覚・平衡感覚)という土台ができることで、関わる人との関係を育めるようになり、安心感が生まれてくることを知りました。

特に自閉症スペクトラムの イレギュラーなことに弱く、見通しが立たないことが不安につながりやすい。そんな息子にとっては、

“いつもと同じ“
“本人が大丈夫だと思える環境(場所・人・もの )“
→「見通し」に繋がり

それを繰り返すことが
→「安心」に繋がっていく

人が主体的な行動を起こすには、
「安全基地」の機能を果たせる大人が必要

宇佐川研 スーパーバイザー 川上康則先生(2023年1月度 発達療育実践研究会にて)


「安全基地」と思える大人の元から、ちょっと冒険してみたり、失敗したら戻ってなぐさめてもらう。そこで癒されて、またちょっと冒険してみようかなと思える経験を繰り返しながら、少しづつ枠を広げていくことで、「ま、いっか!」と思えるようになっていくのではないかと考えました。

そしてやはり「安全基地」と思える大人との関係を作るには、アタッチメントの形成。まずは、触覚防衛反応の改善が重要となることを学びました。

最近は…

「ま、いっか!」と思えることも 増えてきたようです。

3学期の始業式からスタートさせたスーパーボールくじ。
先日、とうとう一等の地球ボールが当たりました!

連日小さいボールしか当たらないこともありますが 怒ることもなく、「一等当たったし、やーめた!」ともならずに、平日のお楽しみ日課として続いています。
 
 
また、私は 全てにおいて「ま、いっか!」と、思えるようになって欲しいとは思っていません。

「ま、いっか!」と思えない部分に、本人の興味・関心・好奇心の芽が見えるからです。

ウルトラマンや特撮など、大好きレベルS級のものは、息子にとって絶対に譲れないもの。
そこが、心の支え・元気や活力の源でもあるので、出来る範囲ではありますが、とことん向き合い、私も応援していけたらと思っています。

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